【東京】2年前に米国で発生した9.11テロ事件を振り返り、諸民族の和解を模索しながら未来の平和を目指す「平和な明日を(Peaceful Tomorrows)!!」が、同実行委員会主催で28日、日本教育会館一ツ橋ホール(千代田区一ツ橋2-6)で開かれ、同テロで実兄を失ったデイビッド・ポトーティ氏らをスピーカーに迎えて、集まった約70名が平和について考えた。
集会は「平和な明日を求める9・11被害者家族の会」(September 11 Families for Peaceful Tomorrows、略称 Peaceful Tomorrows。以下家族会)のメンバーを招いての講演とリレー・トークによる全国集会。東北や中国及び関西からの参加者も見られ、質疑応答を通しての交流にも実りがあった。主催する家族会は、2001年9月11日に発生したアメリカでの同時多発テロによって失われた数千人の被害者の家族らが集まり、「家族の死を相互人間性という人類社会の新しいパラダイムの新生に変容させる機会にしなければならない」という信念の下に結成されたもの。米軍らによる一連の報復攻撃に反対し、全米を中心に講演・討論活動を続けている。
メインスピーカーのデイビッド・ポトーティ氏(David Potorti)は実兄のジム・ポトーティ氏(マーシュ&マクレラン社副社長)を9.11テロのとき世界貿易センターで亡くした。事件前はジャーナリストやプロデューサーとして働いていたが、事件後に家族会を賛同者たちと共同創設。東京での全国集会の後、翌29日には韓国で講演を行い、来月3日にはノースキャロライナ国際人権賞の授与が決まっている。
ポトーティ氏は講演の中で世界のすべての命は価値があり悼まれるべきと語り、「アメリカが間違いを犯すことはないなどという妄想を捨てるときがきた。悪の力に力で対応し、更なる悲劇を世界に広めてしまった。多くの人が犠牲となり、国もバラバラになり、皆が恐怖におびえる毎日を送っている」などと述べ、ブッシュ政権を中心とした一連の報復軍事活動を激しく批判した。
「テロに対抗する方法とは、私たちがもっと人間的になること。弱さをさらけ出し、手を取り合って生きていくこと。77歳の母が息子の死を聞いたときにその名を何度も叫びました。しかし母は続けて『私はいま味わっている苦しみを世界の他の誰にも味わわせたくない』と言ったのです。母としての自分の悲しみを世界中の母親たちの悲しみとして、我が子の死を世界中の子どもたちの死として叫んだのです。世界の人びとにこれを分かってほしい。私の母のように、自分の幸せや悲しみではなく、世界の幸せや悲しみを覚えてほしい。」
被害者を家族に持つ人びとは、事件に際して悲しみを抱いている一方、家族の死を大義名分とした破壊行為によって更なる死と涙を招いてほしくないというのが大方の主張だというポトーティ氏。今ある状況ではなく、あらゆる決断において、感情的にならず、将来を見据えた行動を選択する力こそ本当の強さではないかと訴えた。殺人は理由や手段を問わず過ちであり、ひとつの死はその家族の何世代にも及ぶ悲惨な事件だなどと述べ、人びとが平和のためにのみ立ち上がってほしいと訴えた。
ポトーティ氏の講演後にリレートークがあり、韓国・生命と平和学大学院院長の金容福氏、作家の中山千夏さん、東京大学大学院総合文化研究科教授の高橋哲哉氏がそれぞれの視点で平和の定義や実践について語った。
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