「ESAアジア教育支援の会」は,世界各国との国際協力を通して,インド,ネパール,バングラデシュの貧しい子ども達の教育や女性の自立を共に目指す非政府団体。低カースト,スラム住民,少数民族の子どもたちを主な基礎教育支援の対象とし,自立のための職業訓練や教育設備,教育,女性や地域の人々の共同体を担う指導者が地域の中から育つように支援している。
今回は,現在バングラデシュで行われている小学校3校の建設プロジェクトの一部と,インド国内での職業訓練校の支援活動について紹介する。
-バングラデシュの教育事情とプロジェクト-
<背景>
バングラデシュの識字率は非常に低く,国民の半数は読み書きが出来ないのが現状。女性に至ると,さらにその割合は低くなるという。義務教育は小学校5年生までだが,貧しい家庭からの子どもは働かねばならず,実際に5年生まで教育を受けることができるのは全体の2割程度と言われている。教育機関の見直しは未だ解決のめどが立たない。国民の2%にあたる裕福な人々は国民の2割に当たる裕福な人たちは,高額でも教育レベルの高い私立学校に子どもを通わせている。このように,貧富の格差は開く一方だという。
農村部では,公立・私立学校を含めて,機狽ェ低下の一途を辿っている上に,学校との距離も車で1時間以上を要する。雨季には通学は不可狽ニなり,また各クラスの生徒数も80人を超えるなど,教育環境は満足のいくものとは程遠い。家族は子どもに最低限の教育だけでも受けさせたいと願っている。ESAでは,チッタゴン・ロータリークラブとの協力により,このような農村に小学校の建設を嵐閧オており,この地域全体の教育水準の向上を目指している。
-女性の社会自立支援へ-
女性の自立が社会進出につながるよう支援し,女性の自分たちに対する意識が変われば,男性を含めた社会からの意識も変わる,とESAは語る。インド・西ベンガル州モンャ唐フマリーテレーズ・ニードルワーク・スクールは,女性の自立のための職業訓練校として開校し,現在24名がここで洋裁と英語を学ぶ。卒業生の中には,故郷で裁縫の職を持つ人や裁縫教室を開く人などもおり,地域に根ざした自立支援プロジェクトとしての確実な成果が見られる。
-国内活動-
「アジアの貧しい子どもの厳しい現実を知ることで,自分自身,また自分の国を見直すことにつながる。そして,広い世界が見えてくる。」
『ESA・アジア教育支援の会』では,日本の一人でも多くの方にアジアの人々の現状や諸問題について理解や関心を深めてもらおうと,国際理解教育への講師派遣や講演活動,定期学習会,スタディツアーなどを実施。
国際理解教育や人権教育は,これからの時代を担う子どもたちにとって重要なテーマである。ESAではアジアの子どもたちの生きる姿を通して,「貧しさとは」「教育の大切さとは」等について日本の子どもたちと共に考える機会を積極的に持とうと,講師派遣や講演活動を行っている。
実際に授業を受けた子どもたちからは「日本は国が豊かになりすぎて,人々の心が貧しいという事が見えてきた」「貧しいとは,希望がないことなのだ」など,豊かな感性や鋭い洞察力の見られる感想が寄せられ,子どもの純粋な心が日本の霊的飢餓の深刻性を物語る。
ESAでは,インターネットを通して募金活動を実施中。一人一人の応答が大きな価値を生み出すことを覚えて,私たちに出来ることとは何なのかを追求し続けるべきだろう。
募金受付サイト:www.ngo-arena.org/esa.html