アメリカは,自治領プエルト・リコのビエケス島でこれまで行われてきた軍事訓練を,今年の5月1日を持って終了することを決定した。
99年4月に起こった事件で,海軍機の誤爆によって地元民間警備員が死亡。国内ではこれを契機に,市民や教会によって米軍演習反対運動が実施されていた。今回の決定は,2001年6月に可決された演習停止が,最終決定として公約されたもの。島内に置かれていた演習場はフロリダ州などのアメリカ本土東海岸に移される。
島の面積の3分の2を占めていた演習場は,環境破壊や住民の健康を損なうことも懸念されていた。アメリカ政府は議論が沖縄や韓国の米軍基地問題に飛び火することを恐れて,プエルト・リコの問題について消極的姿勢を示してきた。しかしカトリック教会の聖職者らの指導や各教派の協力の下,住民の支えもあって,半世紀にわたって行われてきた軍事演習の停止が今回可決されるに至った。