中東で使役するバプテスト教会宣教師マイク・エデンズは証しする,「神の意思に従い,神の栄光の為に働くことは,そうしないことより遥かに賢く安全な歩みではないでしょうか」。
彼が共に暮らす家族の危険に晒されることを案じていることは確かだ。しかし彼の証しこそ,イスラム教徒の間で高まる反米意識やテロの危険性にもかかわらず中東に派遣されるアメリカ人宣教師の数が増加の一方を辿る理由である。アメリカの福音宣教団体にとって,中東は世界中の他のどの地域よりも宣教する価値が高いという。宣教師たちは,国内の極度の危険にも関らず,現地に滞在することを自ら願い出ている。現在アメリカから中東へ派遣されている宣教師の数はおよそ1,000人。10年前と比較した場合,昨今の情勢の悪化にもかかわらず,その数は2倍近くにまで増加していることになる。イエメン国内でこれまでに3人の宣教師の命を失った米国南部バプテスト協議会も,イエメン政府が許す限り,派遣された宣教師を現地に留まらせている。
2001年9月11日に起こったニューヨーク市でのテロ事件以来,アメリカ合衆国政府は中東に滞在中の宣教師に対して帰国勧告を発令してきた。身の安全の決して保障されない状況の中,宣教師のほとんどは,万一の場合に備えて直ちに帰国できるよう準備を整えてあるという。
中東各国のほとんどは,アメリカやヨーロッパからの派遣団体の運営する医療保険施設や商業地域,教育施設を歓迎している。宣教団体の中には,こういった現地の必要に応えることでキリスト教と彼らイスラム教国の関係が見直されることを期待している。
イスラム教団体の中には,キリスト教宣教団体の“抱き合わせ”的宣教戦略を非難する声もある。人権団体・アメリカ-イスラム協議会のイブラヒム・フーパー氏は宣教師に対して訴える,「彼らキリスト教徒は生活の貧しい地域に出向き,彼らの裕福さを利用して人々の貧しさにつけ込んでいるだけです。片手に毛布,もう片方の手に聖書を持ち,そして言うのです,どちらか一つが欲しかったら両方持っていきなさい,と。鯨の保護に数百万ドルかけているのに,私たちパレスチナ人の子どもたちが飢餓で死に掛けているのを見て見ぬ振りをするのです。」。