文部科学省の諮問機関・中央教育審議会(中教審)は、教育基本法(教基法)改正に向けた中間報告素案で、教基法に「『公』に主体的に参画する意識や態度を養う」「伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心」を基本理念として盛り込むことを提言。改正の動きが活発化する中、市民集会「教育基本法改悪と武力攻撃事態関連法案を考える」ー『日の丸・君が代』強制の嵐の中で」が10月26日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開催された。小森陽一氏(東京大学教授)が講演し、「教育改革という名の教育破壊、戦争をする国づくりが進んでいる」と警鐘を鳴らした。
小森氏は、昨年11月の遠山敦子文部科学大臣の中教審への諮問理由が、「新しい歴史教科書を作る会」(西尾幹二代普jのメンバーで告ャされている「新しい教育基本法を求める会」(西沢潤一会長)の要望書に基本的に一致している点を指摘。「『求める会』が第一に掲げているのが伝統の尊重と愛国心の育成で、『公』の意識を植え付けようとしている点が全く同じ。伝統は皇室を中心にした社会基盤のことを意味する。一方で教基法第一条にある『平和』『真理と正義』『個人の価値』『自主的精神』が消されている」
小森氏は90年ごろから、マスメディアを通じて学校教育が攻撃されてきたと語る。その理由として「天皇を中心とした日本型共同体(日本型象徴天皇制的共同体)と学校との対立国「」を挙げる。「戦後、教基法にうたわれている民主主義発信の場となったのが学校教育。それが『公』に忠誠を尽くすという考えと衝突してきた。ならば教育現場を変えようと文部科学省は90年ごろから学校・学級崩壊、
少年犯罪などの問題を、教基法に基づく教育問題にすり替えてきた」
90年以降、学校を日本的象徴天皇型共同体と同じ国「をもった規律訓練的組織にしてしまおうという動きが鮮明になってきている点も指摘。その流れが「教基法改悪」の動きとなり、さらに戦争体制づくり(武力事態関連法案)とも連動し、学校現場で「日の丸・君が代」を強制し、命令に従わない教師を「愛国心がない」としていじめる体質にもつながっている点を強調した。
小森氏はこの問題を学校だけの問題としてとらえるのでなく、広範な市民運動と連帯し外の民主主義と連帯しながら戦っていく必要性を説いた。
そのほか入学式での「君が代」伴奏拒否を理由に東京都教育委員会から戒告処分を受け、戒告処分取り消しを求める裁判を起こした都内の小学校音楽専科教員Bさんの経過報告などがあった。
主催は音楽と歴史を学ぶ音楽科教師ネットワーク、武蔵野新学指導要領を考える会、日野「君が代」処分対策委員会、くにたち音楽を考える会。