ビジネスパーソンに福音を伝える伝道グループ、インターナショナルVIPクラブ霞ヶ関は22日、日経BP社特別参与・自由学園理事長の永田晨(あきら)氏を講師として招き、定例夕食会を東京・霞ヶ関で開催した。企業人クリスチャンや各省庁に勤める官僚、キリスト教関係団体の職員らを含む27人が参加。永田氏は自由学園での11年間の学生生活を振り返り、「自由学園で学んだことが私の人生の根底となっている」と証した。
永田氏は、創立者である羽仁吉一・もと子夫妻から直接指導を受けた当時の生徒の一人。現在自由学園理事長として同学園の経営に携わっている。永田氏は、「真理による自由」、「思想しつつ生活しつつ祈りつつ」、「生活即教育」など、同学園の教育方針について自身の実体験を証しながら一つ一つ丁寧に解説した。
自由学園の「自由」は、ヨハネの福音書8章32節にある「真理はあなたたちを自由にする」の「自由」であること。また、よく教育することはよく生活させることであり、自由学園では勉強も実生活も含めて、一日24時間の生活全てを教育の場と考えていると話した。
また、生徒が主体となって学校生活を営む「自労自治」の精神についても触れ、その一つの例として、同学園の設立当初からの伝統である「昼食」について説明した。同学園では、教師と生徒が一堂に会して昼食を取り、特に女子部では生徒たちが交代制で昼食を作っているという。昼食会は交わりの重要性を説いている聖書の教えに基づいた同学園の慣習の一つである。
さらに永田氏は、「思想しつつ生活しつつ祈りつつ」という教育方針について、「生活しながら考える、考えながら生活する、そして祈ること。祈りが生活の根底になければならないと教えられた。いつも神様を中心として生きる生活、それが自由学園の教育だった」と当時を振り返った。
創立者の羽仁夫妻は、「朝起きて聖書を読み、昼は疲れるまで働き、夜は祈りて眠る」をモットーとし、自らそれを実践することで生徒たちに模範を示したという。永田氏は、「実際に羽仁夫妻は、毎朝旧約聖書を5ページ、新約聖書を1章読み、生涯に何度も聖書を初めから終わりまで読み通していた」と、創立者の信仰を証した。
また永田氏は、「自由学園の教育の根幹にはキリスト教の信仰があるが、創立者は宗教を強制するような教育の弊害について、深く配慮されていた。創立者は、教育について『信仰の種をまくようなものだ』と語り、『種がまかれればやがて成長する』という考え方のもとで礼拝をされていた」と語った。羽仁吉一・もと子氏は、説教の中で日常的な話題を積極的に取り上げ、全ての生徒たちに神様を思う心が自然に養われるように努めていたという。讃美歌を歌っている途中で突然止め、その歌詞の意味について詳しく説明したり、説教中に生徒の周りを歩き回りながら突然ある生徒に話しかけ、質問を問いかけて意見を聞きだすこともあったという。
永田氏は自由学園の最高学部を卒業された後、日本経済新聞社に入社し、記者として国内外の場で活躍した。講演ではインドやアメリカ駐在中のエピソードや実体験についても語り、夕食会の参加者らは時折笑顔を見せながら、永田氏の話に耳を傾けていた。
「全ての人は神様からタラントを与えられている。だから全ての子どもは出来うる人!」、羽仁もと子氏はいつもこのように話して生徒たちを励まし、勇気付けたという。日経新聞社の記者としてインド、イギリス、アメリカなど世界各国に駐在した永田氏を内から支えたのは、自由学園の創立者羽仁夫妻の愛と、同学園のキリスト教精神に基づいた教育だった。
VIP霞ヶ関で行われる次回の集会は3月22日。順天堂大学医学部病理学教授の樋野興夫氏が講演を予定している。テーマは「Sense of proportionーがん哲学に学ぶ」。時間は午後7時から、場所は東京・飯野ビル9階レストラン・キャッスルで。詳細はインターナショナルVIPクラブホームページ(http://vip-club.tv)まで。