「日本福音化の鍵は大学生伝道にある。」このような確信から、米国アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団傘下の大学宣教機関「カイ・アルファ(Chi Alpha)」は、日本全国の大学に宣教師を派遣した。同教団の提示した統計によると、洗礼を受けた日本人クリスチャンの51%は20−24歳で献身しているのだという。
カイ・アルファ東大・本郷支部を担当するジョイス・タナカさんは、1989年に日本に派遣された宣教師の1人。「日本の大学生に福音を伝えるには、大学卒業までが勝負です」と語るタナカさん。中高生は大学受験や友人付き合いなどで非常に忙しく、大学を卒業すれば「死ぬまで会社の奴隷」だとタナカさんは話している。「大学生は多年齢層と比べて自由時間も多く、心にもゆとりがあるのです。」クリスチャン人口の少ない日本であるからこそ、信仰をもって宣教に携っていきたいと語ってくれた。
日本宣教も今年で15年目を迎えるタナカさんは、人口の1パーセントにも満たない日本のクリスチャンが、祈りと純粋な信仰で教会を守る姿に励まされているという。
伝道活動は主に英会話教室やボランティア活動、トラクト配布など。ミーティングは、賛美、メッセージ、祈り、交わりの時間という構成だ。タナカさんの受け持つ本郷支部には、今では毎週10人程が集まるようになった。それでも試験前や長期休暇前後は馴染みの顔もまばらだという。
カイ・アルファは、現在日本全国の大学21キャンパスで大学生伝道に励んでいる。タナカさんにこれまで感じたことについて聞いたところ、大学によって学生の雰囲気は異なり、外語大は比較的オープンな学生が多いのに対し、特定のキリスト教教団・教派に属している大学では、学校自体が他教団の宣教活動を認めず、敷地内での伝道を禁止する学校も少なくなく、衝撃を受けたと語った。
タナカさんは、今後は教会とのジョイントプログラムも企画し、聖書クラスの内容の充実を図りたいと話す。3月に入ると、学校に合わせて宣教もしばし休みとしたいところだが、タナカさんは、1カ月後の新年度に備えて年間計画や資料作成など忙しくも充実した毎日を送っているそうだ。