一九七〇年代から始まった日本キリスト改革派教会中央宣教研究所は二〇〇二年より、世と教会に関する委員会と合併し、宣教と社会問題委員会として新しく出発した。教団の機構改革ということもあったが、社会問題は宣教と密接な関係にあるとの意見の一致による合併だった。現在は主に、ヤスクニ問題と平和問題に取り組んでいる。
同委員会は、教団内部に対しては諸問題への啓発、教団外部に対しては有事法制反対声明など教団の立場をはっきりとすることを念頭において活動している。集会などの細かい活動は中会レベルで行われてきたが、今年三月には中会に設置されていた宣教研究所も廃止されるなど、教団内では現在、機構改革が進められている。
現在研究課題について、同委員会の弓矢健児委員(新座木教会牧師)によると、宣教研究所時代から引き継いできたものはないが、教会の天皇制とのかかわり等が当面の課題という。委員会は六人の委員がそれぞれの研究課題を持ち、年に三回程度集まり議論している。また、キリスト者平和ネットの賛同団体として外部的にも平和問題に取り組んでいる。
弓矢牧師は、第二次世界大戦前中の教会が国家権力や天皇制に妥協してしまったと述べ、天皇制やヤスクニ参拝、平和の問題などを、当時のように政治の課題といって避けず、宣教課題として取り組んでいくことが大切ではないかと語った。そのためにも、教会の平和責任に対する明確な理論が必要ではないかと提案した。
ヤスクニ問題等は信教の自由に関連するので取り組みやすいが、有事法制等は政治問題と深く密接しており、反対声明を発表する根底には確固たる神学が必要となる。教会の平和責任についても、信仰告白における議論の展開が必要とされることから、今後は神学的研究に基づいた理論を築いていきたいと述べた。
カルヴィニズム的な視点に立ち、教会は社会に対しても預言者的役割を果たすべきという。国家も神の主権のもとにあり、国家の権能を逸脱する行為については、教会が監視し注意を促す必要があるのではと述べた。
同改革派教会は、社会問題と宣教問題を切り離さずに共に扱うことで、教会の宣教的使命を明確化し、社会に対する使命を確認していこうとしている。