国民の教会離れが進む英国の国教会では、四旬節への参加と理解を深めるために、携帯電話を利用したテキストメッセージの送信を始めた。
携帯電話利用者が1日10ペンス(約20円)のこのサービスに登録すると、四旬節が始まるまでの期間、どのような行いを実践すればいいか、様々なメッセージを伝えてくれる。
中には、「列の順番を誰かに譲る」「1日TVを見ないで過ごす」「ニュースを見て困っている人のために祈る」「苦手と思っている人にも親切にする」など、慈善から禁欲、隣人愛といったアイデアが含まれているという。
本来、四旬節とは、西方キリスト教において「灰の水曜日」から始まる期間で、この日から復活祭前日「聖土曜日」までの期間(今年は2月21日〜4月7日)キリストの受難を振り返り、厳しい断食や禁欲生活を送るというものであった。それが近年になり、好物を絶つ、慈善活動を行うといった内容に変わっていったとされている。
この伝統的風習も人々の教会離れと共に薄くなりつつあり、英国国教会では、一人でも多くの国民に四旬節の意義を理解してもらおうと、テキストメッセージの送信というサービスに至った。
同教会では「教会に行かない信徒」を対象にしたウェブ上での呼びかけとして、今後の展開を計画中とのこと。「Love Life Live Lent」と呼ばれるマルチ・メディアを利用したキャンペーンの一環として今回のテキスト・メッセージの発信が行われており、このキャンペーンの成功を期待する英国聖公会のロワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教とジョン・センタム・ヨーク大主教は、「われわれは世界を変えるにはあまりにも無力と思いがちだが、毎日の些細なことで少しずつ変えていくことは可能」とし、同キャンペーンの成功を期待するコメントを発表している。