ローマ教皇庁と中国当局との外交関係修復への期待が高まる中、台湾政府は中国と教皇庁とのこうした動きに危機感を抱いている。
中国は、教皇庁との外交関係修復のための条件として「台湾との断交」を要求している。これに対して台湾外交部は23日、「台湾と教皇庁の外交関係には変わりがない」との声明を発表した。
台湾外交部は声明の中で、教皇庁と中国との復交に向けた動きが本格化していることについて、「宗教の自由に関連しては、教皇庁が中国大陸に絶対に譲歩してはいけない」と主張した。
一方で、「中国大陸の1千500万人のカトリック信徒らに宗教の自由を得させるための教皇庁の立場は充分理解できる」との見解も示した。
教皇庁は1951年、台湾と修交すると同時に中国と断交した。しかし近年になって教皇庁は、「中国とあらゆる次元で関係の正常化を希望する」との内容の声明を発表し、外交関係修復を試みている。
教皇庁は、これまで主教任命権の問題で中国との葛藤があったことなどから、教皇庁内に新たに中国専門の委員会を設置することにした。中国が外交関係を修復する条件として要求している「内政不干渉」の問題に対する積極的な対処とも見ることができ、「台湾との断交」を要求する中国に対する教皇庁の今後の対応が注目される。