米ワシントン州シアトル近郊のタコマ国際空港で、宗教差別理由で撤去されたクリスマス・ツリーについて、空港側は11日、元通り設置すると発表した。 米CNNの報道でわかった。
報道によると、空港当局は今月初め、地元のユダヤ教指導者から、クリスマス・ツリーに加えてユダヤ教の燭台(メノーラー)を設置するよう要請を受けたため、宗教的な問題の回避を狙って今月9日、空港内のクリスマス・ツリー9本を撤去した。 ユダヤ教の指導者は、「燭台を設置しなければ法的手段に訴える」と主張していた。
これに対し、空港側はさまざまな宗教に敬意を払うことを考えたが、年末で空港利用客が大幅に増加する時期に空港職員全員に対して宗教関連の指導を行うのは困難と判断していた。
ところが、ユダヤ教の指導者と弁護士が当局の対応に困惑。「クリスマス・ツリーの撤去を求めたことはない」として、燭台を設置しなくとも法的には訴えないと連絡。これを受けた空港側が、クリスマス・ツリーの再設置を決めたという。
空港側は、「来年の年末に向けて、ユダヤ教指導者を含め、地域の人々と協力し、空港の飾り付けについて計画していきたい」としている。
CNNがユダヤ教指導者の弁護士の話として伝えたところによると、この件では各方面から、非難の電話や電子メールを受け取ったとという。また、指導者がクリスマス・ツリーの撤去を求めたことは一度もなく、ユダヤ教の燭台をクリスマス・ツリーの横に置いてもらいたいと求めただけだった、と強調している。 また、空港側が飾るかどうかは不明だが、燭台を贈るとしている。