【米クリスチャンポスト】ある中国人キリスト教宣教専門家によると、中国における宗教政策は近年より開放的になっており、中国の一部都心ではキリスト教情報源の利用度が急激に上昇しているという。
米キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」の中国支部宣教会代表のジョニー・リー氏は、最近の中国、その他アジア諸国旅行で調査した各国の現状について、「上海や北京などの大都市では多くのキリスト教書店があります。聖書や神学書を筆頭に、キリスト教指導者養成本、家族と結婚、そのほか霊的な題目の著書が置かれ、誰もが購入できるようになっており、現在中国では400種以上のキリスト教書籍が置かれています」と報告した。
これらキリスト教書店は、中国政府指導下の中国キリスト教協議会(CCC)やプロテスタント教会の三位一体愛国運動(TSPM)によって運営されるものではなく、あらゆる団体、大学によるさまざまな出版社から出た書物を開放的に販売している。このようなキリスト教書店が中国全土で70店ほど存在しているという。欧米諸国で人気のあるキリスト教書籍の翻訳版が、中国でも同様に人気がある。たとえば、ハドソン・テイラーやマザー・テレサの伝記、イエスの話、フォーカスオンザファミリーの創設者ジェームズ・ドブソン氏による家族主義の書物などが人気だ。
リー氏は、「今日の中国において家族や結婚はとても重要な問題になっています。このような話題に関連した書物は中国社会に大きな影響を与えるでしょう」と述べた。
リー氏は、中国でキリスト教に関する霊的な書物への需要が高まっている原因は、中国の「家庭教会」の急速な成長に深く関連していると考えている。上海でリー氏は、CCCやTSPMの認可を受けていない家庭教会のフェローシップに参加し、深い信仰への情熱に溢れた若き魂の持ち主らが存在することを目撃した。
「中国の学生宣教会はとても良く発展しています。大学生たちは本当に良く福音に心を開いてくれています。ある意味上海の学生たちは、香港やその他諸国よりもキリストの福音に心を開いているということができるでしょう。中国の学生たちは本当に神の御言葉に飢え乾いています。香港や台湾などクリスチャンに関する基礎的な考えがある学生とは異なり、中国の学生のほとんどがかつては無神論者でしたが、聖書に触れる機会を持ち、聖書を読むことによって信じるようになりました。そして、香港や米国の学生が思いつきもしないような聖書に関する深い質問を投げかけてきます。彼らの質問の目的は、キリスト教の信仰に挑戦状を突きつけるような目的でされているのではありません。彼らは、聖書がこの世の真理を伝えていることに確信が欲しいのです。彼らはキリスト教を急速なスピードで信じ始めていますが、その信仰の仕方は実に素直です。ですから私たちにはより多くのイエスの弟子が必要です。神の御業は実に偉大です」と述べた。中国都心部では、聖書を配ることはさほど問題ではないが、イエスの使徒養成のための書物がまだまだ不足しているという。
リー氏は、オープンドアーズとともに現代中国の傾向に沿った活動をしていくことの重要性について、「中国の門が開けてきている現在において、霊的な問題を扱う書物の需要は高くなってきました。すでにキリスト教徒である人々のためにも、私たちは彼らの信仰を強めるための活動を継続して行うべきです。そしてつい最近キリスト教徒になった多くの人々のためにも、私たちは彼らを失わないように注意しなければなりません。ですから、私たちは常に中国での変化を監視し、私たちの活動を中国の傾向とどう合わせるか逐一点検していかなければなりません」と述べた。
オープンドアーズから派遣された一団は、中国にいるこれら大勢の若きクリスチャンを養成するため、中国の青年活動へと乗り出した。中国の若いキリスト教徒らは、地方から仕事のために都会へきた者から、都心で高度の教育を受けている者、あるいはそうでない者まで多種多様である。
リー氏は何度も中国が「開放的になった」ことに言及したが、多くの地方では未だに迫害も生じている。
リー氏は、「都心で成長した若者にとっては古い世代の人々とくらべて宗教迫害に関する感覚が異なっているでしょう。上海の青年フェローシップでは、迫害についてはあまり考慮に入れられていませんが、中国のどこかの地方では未だに迫害が生じているという知らせは聞いています。最近では、江蘇省の家庭教会が警官によってひどく迫害され、教会員が警官に暴行を浴びせられた事件が生じています。しかしながらこの50年間、中国では決してこのような開放的な時はありませんでした。私たちは神が中国の門を開いてくださっていることにとても感謝します。私たちは中国に大きな希望を抱いています。中国には多くのチャンスが転がっており、やらなければいけない活動も非常にたくさんあります」と中国宣教に対する今後の期待を語った。