【ワシントンD.C.(AP通信)】世界各地の信仰をもった宗教指導者らが26日ジョージタウン大学に集い、20年前にヨハネパウロ二世によって開催されて以来、米国では初となる宗教間年次フォーラムが開催された。
二日間の平和構築のための国際祈祷が行われたが、その目的は、ただ単に政策の草案を制定するだけではなく、常に争いが絶えず、益々グローバル化されている今日の世界において、主要宗教間の指導者らがより積極的にコミュニケーションをとることが促進されることにあるという。
今年度のパネルディスカッションではこのことに焦点を絞っている。具体的にはエイズ問題、貧困、虐殺そして宗教間の摩擦を解決するための宗教の役割などが論ぜられた。宗教的に扇動されたテロリズムもまた2001年9月11日に発生して以来テロリズムの戦争を引き起こしていることから今回のメインテーマとなった。
カトリック、ユダヤ、メソジスト、イスラム、メノナイト、東方正教会、シオニストなどを含む諸宗教諸宗派から100人程の宗教指導者らがフォーラムで演説を行った。また慈善団体、大学関係者、ジャーナリスト、外交官らもフォーラムに加わった。
米国国務次官カレン・ヒューゴ氏はイスラム教国やその他諸外国の米国に対するイメージ改善に取り組んでおり、信仰が米政府によって政治のために誤って利用されてしまったと述べた。彼女は19世紀の奴隷制度樹立のように、宗教は一歩間違えるとテロリズムを支援する立場になりうることを指摘し、
「自爆することで多くのほかの無実の人々をも巻き添えに死に至らせようとすることはどんな宗教でも認められているものではありません」と述べた。
イスラム教シーア派指導者ウォリス・D・モハメド師は、宗教的目的のためにテロを行う人々に対し、
「光がない。彼らは理解することを知らない。何も見えていない。だから彼らは闇の中でもがいているのです」と述べたという。
前ローマ法王ヨハネパウロ二世はしばしば異宗教指導者と接触を取っており、1986年10月のイタリアアッシジで開かれた最初の異宗教間会議では「世界平和祈祷日」が設けられた。その当時戦争中であったレバノンやニカラグアもこの宗教会議の日は停戦し、ヨハネパウロ二世の言葉に耳を傾けた。
ワシントンD.C.のセオドア・マカリック枢機卿は、
「ヨハネパウロ二世は私たちすべてを愛される神と互いの宗教が同じ立場にある関係性をより理解するべきで、そのときにより力強い祈りが成されるということを知っていました」と述べた。セオドア枢機卿はジョージタウン大学に集まった500人の群衆を歓迎した。
ローマカトリック団体”the Community of Sant'Egidio”によって主催されるこの異宗教間会議は伝統的にイタリアや他のヨーロッパの都市で開催されてきた。昨年はフランスリヨンで開催された。
宗教を暴力の口実に利用することで生じる紛争は未だ続いているが、異宗教間会議主催者らは今回の会議で進展が見られたと述べた。
Sant'Egido広報担当官マリオ・マラジッティ氏は、
「1986年以前にはこのような異宗教間会議は一度も開かれたことがありませんでした。しかし今はこのような会議は普通になっています。これは大きな進展です」と述べたという。