アフガニスタンキリスト教改宗者の話がラーマン氏の解放で無事終了した。しかしながら、宗教解放専門家は世の中には国の『背教』の罪によって死に直面しているキリスト教改宗者が山ほどおり、ラーマン氏は氷山の一角にすぎないことを心に留めておかなければならないと訴えている。
宗教解放のためのフリーダムハウスセンターのポール・マーシャル博士は、世界にはラーマン氏と同じような状況に立たされている多くの「背教者」が存在するが、メディアに無視されているだけであると述べている。マーシャル博士は、ラーマン氏が直面した恐怖と同じような状況に置かれている多くの背教者が今も存在することを世界は忘れてはならないと警告した。
マーシャル氏は、「アブドル・ラーマン氏の窮状は氷山の一角にすぎず、イスラム教預言者モハンメド風刺漫画における暴力に代表されるように、イスラム教過激派によって世界中で体系的に、キリスト教徒が投獄、殺害、その他の迫害活動が行われているのです」と述べた。
改宗する事例は決して特異な事例ではなく、この宗教専門家によると、3月に他にも2人のアフガニスタンキリスト教改宗者が逮捕され、他にも2月にはアフガニスタンキリスト教改宗者が警察に自宅を強制捜査された。
さらに、サウジアラビアなど他のイスラム教国もアフガニスタンと同様の法律を持っており、背教、異教、冒涜などの罪でこの10年間人々を殺害してきた。背教者の死刑宣告はイラン、スーダン、モーリタニア、コモロ諸島でも行われているという。
イランのある政府高官によると、イラン国内において1990年代にイスラム教から改宗した人を追跡し、再改宗あるいは殺害する体系的な運動を行っており、自分も関与していたと告白したという。
プロテスタント指導者らはイランで暗殺隊の標的にされたという。
エジプトでは背教に対する法律は存在しないが、北アフリカの国々では、「イスラム教を侮辱すること」や、「宗派間の不和を招くこと」に対して罰する法律が存在する。2003年度にはエジプト治安部隊が22人の改宗者と改宗を助けた人々を逮捕し、その中の数人は拷問を受けたという。
マーシャル氏は国家命令により背教者を殺害する事例はまれであり、殺害される背教者の多くは、自警団員や、暴徒、家族によるものだという。アフガニスタン、パキスタン、パレスチナ地域、トルコ、ナイジェリア、インドネシア、ソマリア、ケニアにおいても自警団員による脅し、暴力、虐殺の報告があるという。
またこのようなイスラム原理主義的措置に反対するイスラム教徒もまたイスラム世界では暴力を受ける犠牲者となる。
マーシャル氏は、「私たちはアブドル・ラーマン個人の件を越えて対策措置をしなければなりません。イスラム世界全てに本当の意味での宗教の解放を施さなければなりません。イスラム過激派指導者は自分たちが支配することの出来る場所を模索しています。すべてのイスラム教に対する批判に対して反動的な解釈をしています。このように、政治と宗教は複雑に絡み合っており、イスラム過激派指導者らは、政治が宗教から分離するのを不可能にしようとしているのです」と延べ、背教、異教、冒涜、イスラム教を侮辱することに対する法律の削除の必要性を強調した。
最近米クリスチャンポストによるバージニア州リンチバーグのリバティーバプテスト神学校Ergun Cancer博士に対するインタビューによると、Cancer博士もまたイスラム教社会における信教の自由の欠落を指摘し、「イスラム教は宗教の解放を何があっても認めようとしません。このことがとりわけイラクに関する全ての議論を理解することの基盤となります」と述べた。
もとはイスラム教スンニ派であり、イスラム教の学者の息子であるCancer博士は、「もしイラクが新国家建設に成功すれば、1300年に亘るイスラム国家の歴史において良心の自由、信教の自由を認めたイスラム史上初の民主主義国家となるでしょう」と付け加えた。