【バチカン市国(AP通信)】米クリスチャンポストによると、バチカン市国の外務大臣は25日、ローマ教皇と北京が外交関係を築くための「時は満ちた」と宣言し、台湾からローマ使節団を派遣するための準備ができたと述べたという。
しかしながら、ローマ教皇と中国の間で問題になっているのが聖職者の任命権である。ローマカトリックでは聖職者の任命権は伝統的にローマ教皇にあるが、中国政府は聖職者の任命に介入したいと要求している。
このことについてローマカトリック教会のGiovanni Lajolo大司教は、香港ステーション1ケーブルテレビ局のインタビューに対し、「既にお分かりのように、多くの分野で中国とバチカンは協力関係にあります。ローマ教皇は中国に対し何を求めているのかはっきりと説明し、どの面において譲歩する余地があり、どの面において信仰において絶対に譲ることが出来ないかを説明する準備ができています。私の考えでは、もう中国と友好関係を結ぶのに『時は満ちた』と言えるでしょう」と述べた。
今回のインタビューはバチカンにおける香港教区陳日君枢機卿含む15名の新枢機卿任命式においてなされたものである。陳日君枢機卿は中国における宗教の自由を広く主張する人物として有名である。
陳日君枢機卿はAP通信に対するインタビューで聖職者の任命は大きな障害となっているが、この壁を乗り越える何らかの方式を見つけることが出来ると確信していると答えた。
陳日君枢機卿は北京当局に対し、中国当局は教会に対して帝国主義的な価値観をもった施設であると言うような古い見方をしていることを示唆しつつ、「中国当局は教会を恐れるべきではありません」と述べたという。
陳氏はローマ教皇ベネディクト16世の、中国に領域を広げたいという強い姿勢に同調して、ローマ法王庁と継続的にコンタクトを取っていくことが重要であることを強調し、「長い間、バチカンと中国は会話をせずに来ました」と語った。
Lajolo大司教は中国の数百万人ものカトリック教徒の精神的な必要性は、台湾の30万人のカトリック教徒のそれ以上に急を要するものであるとはっきりと主張し、「このためにローマ法王庁は台北から北京にローマ使節団を移行させることをすでに1952年に宣言していました。しかしその時代の社会的情勢の故に、使節団は中国本土から台湾へと移動せざるを得なかったのです」と説明した。
またLajolo大司教はバチカンは台湾、中国両政府に対し、ローマ使節団を派遣するように交渉してきたことも付け加えた。
しかしながら台湾の外務大臣は26日、ローマ教皇庁から台湾は中国が信教の自由を認めない限り、中国と外交関係を結ばないように勧められたと述べた。
中心に神を持たない中国共産党勢力が1949年に中国本土で主権を握って以来、ローマカトリックはバチカンと関係を切らざるを得ない状態になっていた。礼拝は政府の圧力のかけられた教会でだけ認められており、数百万人もの中国共産党ではなく、ローマ教皇に忠誠を誓う信徒らは非公式の教会員と見なされた。中国本土でのカトリック聖職者の任命権が、バチカンと中国の関係修復のための主たる課題であるという。
Lajolo大司教は、バチカンは台湾カトリック教徒との友好関係を弱めようとしているわけではないと述べた。先月陳枢機卿は、台湾の人はバチカンとの関係性における地位の変化に「心の準備はできている」と述べた。
台湾と中国は1949年の紛争により分断され、世界中の殆どの国では台北ではなく北京と公式に関係を結んでいる。バチカンは台湾の唯一の欧州における外交同盟国であるという。