【アフガニスタン・カブール(AP通信)】アフガニスタンでイスラム教からキリスト教に改宗したことで死刑判決に直面しているアフガニスタンの男性が他国の難民収容所への非難を希望していることが月曜日、国連の発表で明らかになった。
国連広報官アドリアン・エドワード氏は、国連がアフガニスタン政府と共に行動し、41歳のアブドル・ラーマン氏の要求にかなうような対策を取ろうとしていることを伝えた。
エドワード氏は、「ラーマン氏はアフガニスタン国外で避難所を探しています。私たちはこの問題に関して平和的な解決が出来る第三国が提供されることを望んでいます」と述べた。
26日早くに、数百人もの人々がラーマン氏の裁判が却下されたことに反感を抱いて抗議デモを行った。そしてアフガン政府高官によると、ラーマン氏を釈放するか否かは現在討議中であるという。
政府高官は今回の裁判が却下になった理由の一部として、ラーマン氏が裁判を受けるには十分でない精神状態であることを挙げた。裁判却下の動きはさらに欧米諸国の強い圧力によっても強まっていった。
アフガニスタンの裁判却下反対者らはラーマン氏に対し、医師の診断を要求しているという。反対者の一人サリンワル・ザマリ氏は27日、弁護士らがこの件について再検討し、その日のうちにでも今後の発表がされるだろうと述べたという。
今回の裁判に密接に関わっているあるアフガニスタン高官はAP通信に対し、ラーマン氏は解放されるだろうと述べたが、政府当局はいつどのように解放するかを現在討議中であるという。
この裁判の宗教的敏感度のために匿名で情報を明かした政府高官は、検察官らがラーマン氏を裁判所に連れ出すための別の証拠文書を持ち出そうとしている間、彼が抑留されている必要はないと、早期から話していたという。
ラーマン氏はカブール郊外の警備が厳重なことで悪名高いPolicharki刑務所に収容されている。彼は24日にカブール拘置所内の別の抑留者から脅しを受けたあと、この刑務所に移動されたという。
Policharki刑務所長は27日、ラーマン氏を独房に拘束していると伝えた。
イスラム教聖職者らはラーマン氏がもし解放されることがあるなら、アフガニスタン民衆を扇動してラーマン氏を背教の罪で死に値するとして殺害すると脅している。聖職者らはイスラム教を拒否することで、イスラム教シャリア法典に違反していると訴えている。
27日の抗議運動は2時間ほどで平和に終了したが、講義でも参加者らは、「ブッシュに死あれ!」と繰り返し叫び、そのほかにも反欧米主義を掲げるスローガンを繰り返し叫んでいたという。
アフガニスタン当局はジャーナリストがラーマン氏に取材するのを禁止してきたが、26日に政府高官がAP通信記者を特別にPolicharki刑務所へと案内した。この刑務所には2000人ほどの囚人が収容されており、その中の350人はタリバン、アルカイーダ組織関係者であるという。
刑務所長のShahmir Amirpur氏は、ラーマン氏は看守に対し聖書を要求していたが、看守は決して聖書を渡さなかったと伝えた。
Amirpur氏は「彼はとても落ち着いて見える。しかし、彼は常に裁判の動きを注意して聞き続けている」と述べた。
またある看守は、囚人も多くの看守も騒動になることを避けるためにラーマン氏とあえて話そうとしなかったという。
しかし、Amirpur所長は刑務所の囚人の安全性を保証した。Amirpur所長は、「私たちは彼を継続的に監視しています。これはとても敏感な裁判なので、彼には高度な安全性が要求されています」と述べた。
ラーマン氏の裁判は米国とその他の欧米諸国が、タリバン政権を2001年に追放することを支援し、アフガニスタン大統領ハミド・カルザイ氏に軍事その他の支援を提供していることへの反発から生じたものであるという。ブッシュ大統領やその他の首脳陣は、アフガニスタンは個人の信条を保護するべきだと要求している。
アフガニスタン最高裁判所広報官のアブドル・ワキル・オメリ氏は、今回の件は「検察官側の証拠書類不足」によって却下されたと伝えた。すでにラーマン氏の何人かの関係者らが彼は精神的に不安定であるため、検察官は彼が精神的に裁判に耐えうる状態かどうか決断しなければならないと要請していたという。
ラーマン氏は16年前、パキスタンのアフガニスタン難民所で国際キリスト教団体と共に医療援助活動家として活動していた際にキリスト教へ改宗したことを理由に訴えられていた。彼は先月警察が彼の所持品に聖書を発見したことで逮捕に至ったという。