世界アングリカンコミュニオンの精神的指導者にあたるカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ博士はキリスト教受難節を前に、20年以上にもわたる暴力に耐え忍び、和平協定をもたらしたスーダンに赴いた。
カンタベリー大主教ウィリアムズ博士は、スーダンの地に寛容を訴えるために訪れ、1000人以上の人々がウィリアムズ博士の説教に耳を傾けた。
ウィリアムズ博士は、イスラム経典法が適用されているスーダン首都ハルツームにおいて、「スーダンで行われている多くの紛争は突き詰めて言えば、『誰が王となるか』のために行われています。集団同士としても、民族同士、異宗教間同士としても、私たちはただ唯一神のみが王であることを知っています。それゆえに私たちは互いに平和を分かち合うことができるのです。」と述べたという。
世界7千万人以上もの聖公会信者を抱える精神的指導者、カンタベリー大主教はキリスト教、イスラム教双方の和解のための説教を行うためにスーダンで1週間滞在する予定であるという。
ウィリアムズ博士のスーダン滞在計画には聖公会大聖堂を設立予定のスーダン南部訪問、スーダン国内での支援プログラムを実践している国連訪問などが含まれるという。
スーダン民族紛争では広範囲に及ぶ暴力、また主たる要因としては紛争からもたらされる飢饉や伝染病の蔓延によって、200万人以上の人が命を落とした。
しかしながら、昨年歴史的な和平協定が調印された。またイスラム教与党によるキリスト教団体、スーダン南部の自然崇拝部族らとの和解がもたらされた。
議論はとりわけスーダンの石油株について未だ活発に行われている。またウィリアムズ博士は集合した多くのキリスト教群衆を前にして、「スーダンにおいて良いものをどのようにして私たちが完全に分かち合うことができるのか知らなければならないと思っています。」
と述べた。
ウィリアムズ博士はまたハルツーム周辺部の数百万人もの南部難民が逃れてきたスラム街にも訪れた。ウィリアムズ博士は彼らに対し、ウィリアムズ博士自身が南部からの難民が無事に南部に帰ることができることを確実なものとするために活動を行いたいと述べた。スーダン南部地域は世界で最も貧しい地域の一つであり、スーダン南部において人間的な生活を送るに足る食料、水、道路を整えるためにも活動を行いたいという意を表明したという。
カンタベリー大主教に挨拶をするために現れた19歳のセシリア・サムエルさんは、
「現在スーダン社会はより平和を受け入れることができるようになりました。私たちは抑圧下にありましたが、現在私たちの声を代表する人々が政府議員に存在しており状況はとても回復しました。」と述べたという(ロイター通信)。
スーダン南部において昨年調印された和平協定では現在三年間に亘り続いているダルフール西部における紛争やスーダン東部での反乱まではカバーしきれていないと言う。
世界アングリカンコミュニオンの精神的指導者として、カンタベリー大主教はスーダン南部300万人以上の人々の宗教的指導者の立場にあり、ウィリアムズ博士の滞在の大半はスーダン南部においてなされるという。この滞在期間中にウィリアムズ博士は、イスラム教、キリスト教の各宗教指導者と会見し、スーダン全国に向けて礼拝を行う予定であるという。