新枢機卿15名のうちの一人に任命された香港陳日君枢機卿は、ローマ法王庁と中国間の長期にわたる論争に終止符を打つ兆しが見えたと発表した。
22日水曜日にローマ法王ベネディクト16世は、昨年4月の就任以来初めての枢機卿任命の発表を行った。 陳日君枢機卿は、中国人枢機卿を任命することを決意した法王の意によって、法王が中国の何百万人にも上るカトリック教徒を大変重要視していることが伺えると述べた(AFP)。
香港カトリック教区25万人の長に位置する陳日君枢機卿は「このことで法王は中国を実に重要視していることが伺われ、私は今後中国とローマ法王庁間における良好な関係が再構築できることを期待しています。」と述べた。
ローマ法王庁は法王の主導の下中国との関係改善に向けて多くの努力をしている。中国は1951年にローマ法王庁大使を国外退去させて以来、ローマ法王庁との関係を断絶していた。ヨハネパウロ2世の死後、ベネディクト16世は中国に対して他国と同様に開かれた関係を結ぼうと呼びかけた。
多くの人々がローマ法王による香港枢機卿の任命と中国での宗教的自由の提唱は、ヴァチカン−中国間の関係性を回復する重要なステップであり親善の良い兆しであると見ているという。
香港司教区新聞の副編集長Jim Mulroney氏は、「今回の任命で陳日君枢機卿がヴァチカンと北京の良い架け橋となることが期待される」と述べた。
中国はヴァチカンと外交関係を回復することの前提条件としてヴァチカンが台湾と絶縁し、中国の内政に干渉しないことを提示したという。陳日君枢機卿はそのような条件に合意することは可能ではあるが、とりわけ中国における宗教的自由の欠如が問題を複雑にしているという。
陳日君枢機卿はヴァチカンと中国の関係回復について、「中国教会は特別な状況下にある。中国政府は教会を規制しており、信徒の自由について非常に厳しく規制している。それ故に状況はそれほど単純ではない。我々はこの問題を段階的に処理していく必要がある。」と述べた。
陳日君枢機卿は、最近中国共産政党独裁下におけるすべてのカトリック教会がローマ法王によって十分に認識されることが困難になっていることにも言及した。
ローマ法王に忠誠を誓うカトリック教会は中国政府に承認されず、迫害下にさらされることになる。ローマ法王はヴァチカン−中国間の関係性を回復していく中で、およそ1千万人の礼拝者が地下教会で礼拝している中国においてより宗教的自由の道が開かれることを期待しているという。
ヴァチカン提携報道機関"Asia News"創設者で中国問題専門家のBernardo Cervellera牧師は今回の陳日君枢機卿の任命について、中国が宗教的自由についての考え方を見直す良い機会を提供するものになった、と見ているという。
正式な新枢機卿任命式は3月24日に行われる予定であるという。