世界動物衛生組織(OIE)及び世界保健機構(WHO)の報告によると、発病性の高い鳥インフルエンザがアフリカ大陸に上陸したという。ナイジェリア大統領オルグセン・オバサンジョ氏もまたインフルエンザのアフリカ大陸上陸を認めた。
世界の獣医専門家が8日、アフリカに致命的なH5N1ウィルスがもたらされたことを受け、鳥インフルエンザの蔓延を防ぐためにナイジェリアへ駆けつけた。
この致命的なウィルスがアフリカという貧しい大陸に到着したというニュースに対し、世界中が警告を発した。ウィルスの蔓延防止に直ちに取り組まなければ、医療技術が乏しく健康衛生管理システムも不十分なアフリカではただちにウィルスが蔓延し、鳥から人へと次々に感染してしまう危険性があるという。
2003年にH5N1ウィルスが出現して以来、大量の家禽類が被害をこうむり、人にも一部感染した東南アジア同様、ウィルスが発見されたナイジェリア北部では多くの人々が家禽類の近くに住んでいる。アフリカでは、鶏は唯一のプロテイン摂取源であるが、家禽類飼育業者が鳥インフルエンザのために大いに動揺する恐れがある。
ヨーロッパ当局は春にアフリカ西部から北へ渡る鳥類がヨーロッパ大陸に到着する危険性について迅速に調査を始めた。しかしながら、渡り鳥によるウィルスの脅威については議論がある。
ガーディアン紙によると、家禽類の移動は外来動物の取引やその他の鳥類の移動などによっても可能であるという。
ロンドンにある英環境省(Defra)は、鳥インフルエンザウィルスがさらに地球規模に広まる中、イギリスにウィルスが到着する可能性は低いと発表した。しかしながら、新たな調査が最近行われている。
ナイジェリアでの鳥インフルエンザの報告は、イラクで鳥インフルエンザが発生しているという噂があったのと同時期に発表されたものである。
世界中で鳥インフルエンザに感染した165人のうち、88人の死亡が報告されている。ガーディアン紙によると、アフリカで鳥インフルエンザウィルスが突然変異して人へ容易に広まるようになれば、何百万人もの人々を死に至らせる潜在力があるという。OIEはアフリカ当局を援助するために緊急対策をとり、支援チームをアフリカへ派遣しなければならないと述べた。
専門家の一人、アレックス・ティアマン氏は「深刻な問題はウイルスが広まった地域が全く別の新大陸であることだ」と述べた。ティアマン氏はナイジェリア当局が家禽類を直ちに検査、消毒、処分するなどの緊急対策に乗り出したことを賞賛した。ナイジェリアは渡り鳥にとって主要な経由地であったために、ウィルスがナイジェリアに到着したものと考えられている。またナイジェリア周辺国もウィルスに関して警告しており、家禽類に対する広範囲な調査が行われている。
英環境省"Defra"によると、「仮調査によれば、アフリカ大陸内での渡り鳥に関する情報はあまり信頼できない。しかしながら渡り鳥が決まった道のりを辿る可能性は十分にある。故にアフリカ東部に渡ってきた鳥がヨーロッパ東部に回帰し、彼らの産卵場所であるシベリア南部へと戻ることが考えられる。一方でアフリカ西部からの鳥は地中海を通ってロシア北部へ渡る可能性がある」と発表した。