世界聖公会組織、アングリカン・コミュニオンの精神的指導者にあたるカンタベリー大司教ロ−ワン・ウィリアムズ博士は英国国教会総会を開催し、6日夜、総会はイスラエルによるパレスチナ領土占領地で利益を得ている企業への教会資産の投資を取りやめる決定を下した。
この決定から、英国国教会とユダヤ人指導者との衝突が避けられないものとみられるが、英国国教会の主な標的は米国の地ならし機販売会社キャタピラー社である。英国国教会によると、キャタピラー社はイスラエルに地ならし機を継続的に提供し続けている。イスラエルはその地ならし機を使ってパレスチナの故郷を破壊し続けているという。
この決定に至る動きは昨年夏に最初に呼びかけられ、世界中のアングリカン・コミュニオンのメンバーが招集された。
現在英国国教会は9億ポンドの教会資金のうち250万ポンドをキャタピラー社に対する株式資産としており、キャタピラー社の経営活動に関して交渉を計画しているという。キャタピラー社の製品は世界中で建築、倒壊のために使用されているが、問題の核心はキャタピラー社にあるのではないという。英国国教会は中東イスラエル政府の状況をより問題視している。
キャタピラー社はイスラエル政府に直接には製品を供給していないと主張しているが、彼らの製品は実際米軍に販売されており、米軍からイスラエル政府に販売されているのだという。
この問題は多くの議論を呼び起こしており、英政府国会と同等の権力を誇るロンドンの英国国教会総会では、エルサレムで聖公会司祭職を務めるパレスチナ人司祭から届いたイスラエルでのキャタピラ製品使用を糾弾する文書が読み上げられた。
この動きは、イスラエルには教会の支援が必要であると主張する前カンタベリー大主教ジョージ・ケアリー氏の反発に遭う恐れもある。
しかし英国国教会総会における演説者たちは、教会は公益のために資産を運用するべきであり、経済的な見返りのためだけを考えて投資するべきではないと強く主張した。
キリスト教援助機関クリスチャンエイド議長でチェムスフォード区司教のジョン・グラドウィン牧師は、中東での問題はキャタピラー社よりむしろイスラエル政府自体にあると主張している。しかしながら、グラドウィン牧師は当然のことながら教会倫理にかなう振る舞いをする団体のみに資金援助をするべきであるとも付け加えた。「キャタピラー社は世界中で建築倒壊のためにその製品が使用されている一企業に過ぎない。問題はキャタピラー社にあるのではない。問題は中東地域の情勢とイスラエル政府にある」と述べた。
ロンドンサザク教区のサイモン・バトラー牧師はキャタピラー社に対し、「私たちの罪の認識からすれば貴社の行動は重大な結末を招くことになる」と警告している。
しかしながら、セイントアルバンス教区司教でキリストユダヤ協議会議長のクリストファー・ハーバート牧師は、この議論はバランスが取れていないと指摘した。ハーバート牧師は、「ユダヤ人共同体の中には、キリスト教徒がこのような議論の中で自分たちの見解を理解してくれるという信仰と希望をもっているが、この総会ではそのようなユダヤ、キリスト共同体の複雑な状況を必ずしも反映できていない」とこの総会での議論の成り行きを批判している。