米国の2つの州の連邦裁判所で2003年度に制定された、ある種の妊娠後期における中絶を禁止する部分出産中絶禁止法案が米国憲法に違反しているとして最高裁へと上訴された。
カリフォルニア州の第9回控訴審とニューヨーク州の第2回控訴審で部分出産中絶禁止法案は、母体が危険にさらされている場合の母親の安全性についての例外規定を設けていないことから無効であるという判決が下った。
部分出産中絶禁止法案はすでに議会を通り、ブッシュ大統領によって承認されたものであるが、先の判決ですでに非合法的であるという判定が下った。この裁判は上訴され最高裁に持ち込まれる予定であるが、判事らは未だにこの件を最高裁に持ち込むかどうか決めかねているという。
最近の最高裁における保守派判事2名の任命により、どのように最高裁がこの中絶問題を扱うかに注目が寄せられている。最高裁判事として火曜日に中間派サンドラ・デイ・オコナー判事に代わって保守派サミュエル・アリート氏が最高裁判事に任命された。
2000年には、オコナー判事は部分出産中絶を禁止するネブラスカ法案を母体の安全性に関する見地が抜けていることから違法であるとした。
そして2003年度制定された部分出産中絶禁止法案は「一女性の健康を保つために決して必要なものではない」という理由で火曜日却下された。法を知っているにもかかわらず、部分出産中絶を行った医師もまた法律違反で民事および刑事責任に問われ、最高で懲役2年の刑に処せられるという厳しいものであった。
先月最高裁は、この件はもう一度連邦裁で再審するように要請した。最高裁は部分出産中絶禁止法案のほんの一箇所が無効であるとされただけで、この法案のすべてが却下されるべきではないと見なしたからである。
最高裁は地方裁にこの部分出産中絶禁止法案の一部を憲法に違反する部分を修正することで、法案を保持する道がないか考慮するように求めた。
妊娠後期の部分出産は胎児の頭蓋に穴をあけ、吸引カテーテルを挿入し、脳を吸い出して頭蓋がつぶれるようにして胎児を死亡させる方法で、チェスター・J・ストロブ判事はこの中絶法について胎児殺害に当たるとして、「医師が足指のそろった胎児を破壊することを許可することになれば母親は社会においてより容易に胎児殺害を容認する道へと走ることになるだろう」と反論を述べた。
部分出産中絶法案はもともとブッシュ大統領によって2003年に制定されたもので制定時からいくつかの妊娠中絶支持派団体によって憲法に反するとして訴えられていた。