【ワシントンD.C.】米大統領ジョージ・W・ブッシュ氏は今週火曜日に国際テロから国内教育改革まで幅広い分野にわたる演説を行い、国内外で米国が成功していくためには常に希望と慈愛に満たされていることが重要であると強調した。
ブッシュ大統領は火曜日夜行われた2006年度、一般教書演説において、「我々がどのような問題に直面したとしても、米国が下り坂になっているとか米国文化が廃れてきているというような悪い見方に屈してはならない。このことを我々米国人はよくわかっている。我々は過去の歴史で悲観主義的な見方を覆してきた。我々はもう一度それを行うことになるだろう」と楽観志向で進むことを強調した。
イラク戦争によって低下した支持率、ハリケーンカトリーナ救援対策、景気低迷、共和党を巻き込んだ非道徳的不祥事など多くの問題に直面し、ブッシュ大統領は議会合同会議や全国テレビ演説にむけた最近の政策で懸念する領域について慎重に言葉を選んで演説した。
ブッシュ大統領はこのような多くの懸念事項があるにも関わらず、「我々の合衆国は強い」と宣言し、自由な世界のよい手本となるようにこの機会に奮起しなければならないと述べた。
ブッシュ大統領は「我々米国民を保護する唯一の道、平和を獲得する唯一の道、わが国の運命をコントロールする唯一の道は我々米国のリーダーシップにかかっている。ゆえに、米国はこれからも世界を先導し続けるべきである」と演説し、スタンディング・オベーションを受けた。
ブッシュ大統領の演説はワシントンD.C.においてその前日に保守派サミュエル・アリート判事が新最高裁に承認され、すでに議会において共和党と民主党の分裂が激しくなった非常に敏感な時期に行われることになった。
今回の新判事任命に関して最も意見が分かれる要因となったのは、ブッシュ大統領が胎児を含むすべての形における人の命を保護する必要性を強調したことにある。
ブッシュ大統領は、人の命について「希望に満ちた社会とは科学、医療研究施設が倫理的な罪を犯すことなく、すべての人の命は無比の価値をもつ尊いものであると認識することで成り立つ。人の命は私たちの創造者からの賜物であり、この賜物を捨て去ったり、価値を劣化させたり、商品にするようなことは決してしてはならない」と述べた。
また大統領は伝統的な結婚形式を保護することにも触れた。この問題はブッシュ大統領が第二期大統領任務を継続するために票を入れた多くの有権者がブッシュ氏を支持した主な理由となっているという。
演説の中でブッシュ大統領は、多くのアメリカ人、特に保護者の人々が米国の文化の行く末や米国の基盤となる制度の健全性について深い懸念を示していること、彼らが公的な役人による非道徳的不祥事や結婚の定義を変えようとする法律家の活動に懸念を示していることについても触れ、「判事は法律のための奉仕者であるという役割をわきまえている男女を今後も判事として任命し続ける予定である」と述べた。ブッシュ大統領の就任以来5回目となる一般教書演説は50分以上にわたり行われ、その間58回も拍手喝采を受けたという。