アフガニスタンにおける状況は暴動が激化し、アフガニスタンの女性が継続的に社会的差別、抑圧下に置かれたままにされており、ますます悪化している。
1月18日に発表された2006年度人権ウォッチ世界報告書によると、4年前に米軍がタリバン勢力をカブール地域から撤退させたにもかかわらず、不安定な情勢がこのイスラム教国家に蔓延し続けており、そのためにアフガニスタンは世界で最も乏しい国の一つとして置き去りにされているという。また2005年にはアフガニスタン南部においてタリバン勢力やその他反政府軍による暴動が広まったという。また以前はほとんどアフガニスタンで発生しなかったにもかかわらず、2005年には多くの自爆テロが生じ、その大部分がアフガニスタン南部で生じたという。また暴動の急激な増加はパキスタンとの国境を通じて大きな支援を得ることによってタリバン勢力が再編するのに成功したこと、またさらにはアフガン国民の中央政府が国内発展のための誓約を達成しそこねたことに対する怒りの現れを示しているという。
米"Voice of the Martyrs(殉教者の声、VOM)"のニュース・サービスディレクター、トッド・ネトルトン氏は、タリバン勢力は未だにアフガニスタンに存在していることを確信している。ネルトン氏は電子メールにて米クリスチャンポストにVOMのクリスチャン記者が一年前に「タリバン勢力はまだ撤退していない。タリバンはひげをそり、黒いターバンを着用しなくなっているが、しかし未だにここにいる。」とアフガニスタンから報告していると告げた。
タリバン勢力は力を増してきているにもかかわらず、アフガニスタン国民の大部分はタリバンよりもむしろそこら中に点在している暴動軍の長が治安が不安定になる最も大きな要因であると感じているという。
人権ウォッチは敵対武装勢力同士の衝突は2005年に減少したが、多くの地域において、地方の軍隊勢力の長とその軍隊が専制的な逮捕や不法な拘束、誘拐、強奪、拷問、殺人、司法管轄外の容疑者に対する死刑執行、強制移住、強姦に関与し続けているという。
特に成人女性と少女が厳しい女性差別と規制下におけるもっとも不安定な状況に苦しんでいる。2005年国連およびアフガニスタン政府報告書によると学校に通うべき年代の少女のうち35%しか実際に学校に通っていないという。また結婚に関してはアフガニスタンの女性のほとんどが16歳にも満たないうちに強制的に結婚させられているという。
さらにアフガニスタン南部の5つの州ではたったの10%の少女しか中学校に通っておらず、残りの90%は学校に通っていないという。
また政治家候補者やジャーナリスト、教師、NGO職員あるいは地元統治者を批判するなどの仕事に積極的に関与し社会を先導しているような女性は継続的に脅しや暴力に直面しているという。
2005年4月中旬にはバダフシャーン州で29歳の女性が姦淫のために家族に虐待され死に至ったという。また昨年5月4日にはバグラーン州で三人の女性の死体が発見されたという。さらにそれらの女性遺体には「女は非政府組織や西欧援助機関で働いてはいけない」というメモが張られていたという。
このようなアフガニスタン女性に対する至らない扱いにもかかわらず、2005年10月18日の議会選挙では前進が見られた。議席の少なくとも4分の1は保証されていた女性候補者たちは投票者に訴え、選挙運動を行った結果、68人の女性議員が誕生したという。この数は4分の1の割合をわずかに上回る。
2006年度人権ウォッチ世界報告書は2005年70カ国以上における人権開発状況を調査した内容を含んでおり、タリバン勢力下においての状況に比べれば状況はましになったが進展度合いは不十分であり、遅すぎると結論づけた。
VOMのネトルトン氏は「選挙によって政府が成立し、適切な憲法が制定されたことはすばらしいことだ。しかし、子供たちが成長するにおいて子供たちの自由を現実のものとするにはさらなる問題解決が必要であり、さらに少女やキリスト教の信仰を志した子供たちが本当の自由を得るには多くの難題が積み重なっている」と述べた。