キリスト教テレビ伝道者パット・ロバートソン牧師は、イスラエルアリエル・シャロン首相の重度の血栓症がパレスチナに土地を譲渡したことによる神の怒りによる裁きであるとした先週の言及に対し、謝罪文を発表した。
この謝罪文書は、イスラエル観光産業省がガラリヤ湖付近に設立予定のキリスト教遺産センター建築計画からロバートソン師を除外すると発表された直後のことであった。この謝罪文は1月11日付でシャロン首相の息子オムリ氏宛てに提出されたもので、ロバートソン師がシャロン首相の病状について深い哀れみの意を示すことと、赦しを求める内容が書かれていた。
謝罪文の内容は 「旧約聖書ヨエル書におけるイスラエルの聖地に関する見解をシャロン首相の病状の原因に当てはめたことについてあなたとすべてのイスラエル国民にお許し願いたい。今回の私の言及は不適切かつ思いやりのないものであったと反省する。」
先週水曜日のテレビ番組「700人クラブ」では、ロバートソン師はシャロン首相の血栓症は神の怒りが下ったことによると述べていた。
「神は御自分の土地を分離するものに対し憎しみを抱かれる。シャロン首相は神の土地を分断した、そして私は欧州連合(EU)、国連、米国などに譲歩して同じような行動を取ろうとするいかなるイスラエル首相に対しても悲痛の意を表明する。神は『この土地は私のものだ。この土地に触れてはならない。』と言われるからだ。」と番組内で宣言した。
番組放送直後に、ロバートソン師の言及は南部バプテスト協議会宗教倫理解放委員会会長リチャード・ランド博士を含む米国中の宣教指導者によって批判を浴びせられた。ランド博士は神の御心をロバートソン師が読み取り、首相の重症が神の裁きだと宣言したことに対し、大変な衝撃を受け、呆れてしまったと述べた。
一方米国福音協会会長テッド・ハガード氏はロバートソン師は福音協会に対しては放送前にそのような話をすることはまったく打ち明けておらず、協会側としては、シャロン首相の病状は医学的に説明可能であるとしている。ロサンゼルスタイムズ紙にハガード氏は神がシャロン首相の病状について裁いたと言う見解には大いに疑念を抱くと述べている。
この謝罪文において、ロバートソン師はシャロン首相の病状について大いに悲しみ、シャロン首相の人格について親切で寛大な紳士であると述べた。またイスラエルの治安を強く望み、イスラエルに敵対するどんな脅威に対しても対抗するとイスラエル国に対する愛国心を示した。
イスラエル観光産業省とロバートソン師はガラリヤ湖付近の丘に設立予定の聖地巡礼観光センター計画についての資金調停の契約に調印しようとしていたが、その寸前に産業省から「ロバートソン師と彼を支持する見解を示すすべての団体に対してこの計画を共に行うことは難しく、再考することが必要である」とロバートソン師のガリラヤ観光センター計画参入を拒否する姿勢を示した。
観光産業省広報官のイド・ハーツ氏はさらに付け加えてロバートソン師のガリラヤ観光センター計画参入拒否はすべての福音団体を拒絶する姿勢を示したわけではなく、ロバートソン師を除いてこの計画は継続して交渉される予定であると述べた。イスラエルはこのガリラヤキリスト教遺産センタ―のために少なくとも4万坪を提供し、センター建築に5000万ドルを投資する計画を持っている。このキリスト教遺産センターにはテーマパーク、大ホール、屋外シアターが含まれる予定だ。
一方でシャロン首相は先週水曜日脳卒中によりエルサレム市内ハダサ病院にて入院中であり、担当医によると未だ意識が回復されていないという。