インドネシアのスラウェシ州パルで31日朝、爆発が起こり、8人が死亡、50人以上が負傷した。現場はキリスト教徒の多い同州州都にある豚肉などを売る市場の一角。警察当局は3日までに実行犯の1人を拘束し、爆破テロの更なる計画がないか調査を急いでいる。
イスラム教徒とキリスト教徒の抗争に絡む爆弾テロとみられ、警察は国際テロ組織ジェマ・イスラミア(JI)に近いイスラム過激派による犯行との見方を強めている。警察当局は記者会見を行い、現在も逃走中の実行犯を追って州内の数か所を強制捜査していると伝えた。
拘束中の男は爆破現場付近で事件当日夕方に拘束された。男の名は容疑者名簿に載っていなかったという。
爆破は、同州でくすぶるイスラム教徒とキリスト教徒の抗争再燃を狙うテロとみられる。
現場はキリスト教徒が多い地区で、豚肉を売る市場で爆発が起きた。イスラム教では豚肉を食べることが禁じられており、キリスト教徒が集まる場として狙われた可能性が大きい。インドネシアの人口の85%がイスラム教徒とされている。
爆破に使用されたのは手製爆弾で、中に多数の釘が仕込まれていた。殺傷力を高めるためとみられる。
同州のポソでは05年10月、何者かがキリスト教徒の女子高生3人の頭部を切断し殺害。5月には州の中心部テンテナで爆弾テロが起き、60人以上が死傷した。1998年から2001年にかけて激化した宗教抗争では、計2000人以上が死亡した。
当局はクリスマスから新年にかけて爆破テロが発生する可能性があるとして数週間前から注意を呼びかけていた。テロの脅威から国民を守るために国内全域で厳重な警戒態勢が敷かれていたが、今回のテロを未然に防ぐまでには至らなかった。
大部分のイスラム教徒は他宗教に寛容だが、ここ数年でイスラム過激派の数が著しく増加していることもわかっている。