米紙クリスチャンポストによると、米国内のイスラム教モスク、住宅や商業施設などを対象とした核放射線に関する調査報告書がこのごろ公表され、信教の自由を侵害すると懸念の声が上がっている。
米政府当局は、監視は合法的であり特定の団体を標的としたものではないとしている。
キリスト教防衛連合(CDC)理事長、パトリック J.モハネー牧師は12月27日、「適切な事由や根拠なしに宗教施設を監視することは威嚇行為に値する」とし、「不平等な政策および宗教感」を改善するよう求めた。
「米国の最大の強みのひとつは、人々のあらゆる宗教的伝統や宗教感が保護されており、政府の圧力さえ及ばない点だ」とモハネー氏は語った。
同氏は「二重基準は許されない。信教の自由の保護に献身的だと国際社会に表明する一方で、正当な理由もなく宗教施設や有力者の集会を許可する政策を支持することはできない」と主張する。
同23日付け「U.S.ニュース&ワールド」報告書によると、02年以来、米連邦捜査局(FBI)と米エネルギー省核緊急支援室(NEST)はワシントンのイスラム教施設だけで1日最大120か所を監視した。
報告書によると、同様の監視がシカゴ、デトロイト、ラスベガス、ニューヨーク、シアトルでも行われていた、と計画の合法性を懸念する匿名の情報源が証言した。核兵器や有害物質は見つからなかったという。
イスラム教団体は政府が特定の宗教を危険視しているとみており、政府に情報開示を求める方針だ。
国内他紙が報じた政府筋の情報によると、イスラム教だけが監視対象ではないという。「われわれは民族や宗教に基づいて対象を決めているわけではない。調査は諜報機関によるもので、犯罪の可能性に基づいている」とした。
報告書によると、FBIとNESTはこれまで多数のイスラム教施設を調査しており、そのうちモスクの駐車場や私有地内の車道など全体の15%が放射能の発生の有無を調べられた国内他紙によると、被疑者は全て米国籍を持っているという。
同じ情報源によると「私たちの多くは調査の合法性に疑念を抱いていた。だが批判を続けた人のほとんどは職を失った。調査は完全に合法だと告げられている」という。
司法省の広報官ブライアン・ルーカス氏はAP通信社に対し、「調査は合法的で、テロの脅威から国民を守るために行われている」と述べた。当局は国民の健康と安全を脅かす気配を監視しており、危機につながる詳細な情報にのみ対応していると主張。FBIは適切な合法的権限なしに法で認められた一線を越えて介入することはないとした。
政府高官はU.S.ニュース紙に対し、公道や駐車場を含め公共施設を監視するのに許可は必要ないと話した。
別の政府筋は「配達員が進入できるところは、われわれも進入できる」と述べている。