クリスマス・シーズンの関心をイエス・キリストに向けようとの努力の一環として、米国家族協会(AFA)理事長が、2006年のクリスマスにはプレゼントに費やす金額を減らし、代わりに募金や献金をしてはどうかと提案し議論を呼んでいる。
AFA理事長のティム・ウィルモン氏は、子どものプレゼントを否定しないと断わったうえで、プレゼントを手作りにしたり、時間やお金を捧げることを提案した。救世軍など社会奉仕を行う組織などを具体例に挙げている。他の保守派団体はこの提案に関するコメントを差し控え、プレゼントを贈りあう習慣は季節の伝統的な楽しみの一部分であり、クリスマスが小売店を裁くようなことに結びつけられるべきではないと述べた。
米紙サンフランシスコ・クロニクルによると、ティム氏は「クリスマスの本来の意味を人々に忘れてほしくない」と話している。
AFA会長のドナルド・ウィルモン氏は、この提案の経済効果を強調する内容の電子メールを会員に送付した。「このような努力を通じて小売業者も含む全ての人々にクリスマスの起源を思い起こさせることができるはず。販売店が皆、祝日ではなく、クリスマス自体を宣伝するようになってくれると確信している」とドナルド氏は述べた。
「もし来年のクリスマスで買い物客が減少すれば、業者はわれわれ(クリスチャン)にもっと敬意を払うようになるだろう」とドナルド氏は付け加えた。
05年のクリスマスには、AFAは自動車製造大手フォード社など大手企業数社と関連販売店の方針を批判し、不買運動を展開した。同社が同性愛者雑誌に広告を掲載したことが原因という。フォード社はこの広告を続ける意向を示していることから、AFAは不買運動を再開するとみられる。
またAFAは、全国規模で事業を行う小売業者が宣伝や店内ディスプレイに「クリスマス」、「メリー・クリスマス」と表記しない場合、これらの業者を不買運動の対象とした。
一部の保守派団体は、この提案の動機は正しいとする一方、年末の祝日の楽しみが奪われてしまうと話す。保守派団体リバティ・カウンセルのステイバー会長は、プレゼントを購入しないこととクリスマスの本来のあり方は直接結びつかないのではと、不買運動の有効性を疑問視した。相手に感謝の心を表すためにプレゼントを贈ることは、クリスマスの楽しみの一つでもあるという。
同団体は今年のクリスマスシーズン中、信教の自由を認めずに法的根拠を欠いたまま公共施設からクリスマスに関連のある物を排除しようとした人々に対して訴訟(クリスマス闘争)を起こした経緯がある。ステイバー会長は今後も訴訟を続ける決意を表明している。
「アメリカを憂慮する女性の会」(Concerned Women for America)会長、ジャン・ラルー氏は、サンフランシスコ・クロニクルの取材に対し、貧しい人に献金を促すのは良いことだが、小売店を巻き込むべきではないと述べた。
「クリスマスの本当の意味を取り戻すことが小売店業者を罰することに関連するかについては疑問が残る。キリスト教、ユダヤ教の信者にも、自営業でささやかに暮らす人々は多いはず。クリスマス期間中の収益が上がらずに苦しむことになってしまうことは避けたい」と同氏は話している。