ユニセフ(国連児童基金)が最近行った調査で、インドネシアの子どもたちに精神的回復の遅れが見られる一方、インド、スリランカ、タイで被災した子どもたちが将来に希望をもっていることがわかった。
この調査では「ユニセフ津波被害者救済研究−被害を受けた子供たちの認識」という題で、地震と津波で最も被害の大きかった4か国1633人の子どもを対象に、被害に対する感情と将来についての考えをインタビュー形式で聞いた。子どもは8歳から17歳で、津波で被災した経験を持つ。
インタビューで得られた結果では、現在もなお回復課程にあるものの、子どもは楽観的で将来に希望を持っていることがわかった。また、津波直後から数週間後の状況と比べて状況は改善したと感じる子どもは3分の2に上った。
<調査から得られた主な結果>
・インド、スリランカ、タイでは、子どもの約8割が未来に希望を抱いている、または「希望がある」「幸せだ」「自信がある」という前向きな単語を自身の状況を説明の中で使用した。
・インドネシアの子どもは最も悲観的な将来像を持っている。約3分の1が、生活は今後改善しないと思っている。調査対象の子どもの69%が肉親や兄弟を津波で失った。
・多くの子どもが津波に対する恐怖心を現在も抱いている。インドやスリランカでは、対象となった子どもの過半数が次の地震や津波を恐れている。タイでは、76%の子どもが愛する人を失うことを恐れている。インドネシアの3分の1以上の子どもが孤独を感じている。
・ほとんど全ての子どもが、救援活動で恩恵を受けたと認識する一方、援助は今後も必要と感じている。子どもの9割は学校に復帰したが、学校に通うための援助が必要と感じている。
・被災地で活動するキリスト教系援助団体は今回の調査で励ましを得た。このうち「ワールド・ビジョン」(本部・米)は子ども向け談話室200棟、138か所の遊技場、学校校舎30棟を建設し、13万4千人もの子どもが学校へ復帰するのを支援している。