東南アジア諸国連合(ASEAN)は9日、クアラルンプールで外相会議を開催、ミャンマー民主化問題や東南アジアで猛威を振るう鳥インフルエンザ対策などを協議した。
議長国マレーシアのサイドハミド外相は、民主化を促すため加盟各国外相がミャンマー(ビルマ)を訪問することを提案。東アジア共同体の構築を本格始動する意思表明となった。共同通信が伝えた。
会議終了後の記者会見でサイドハミド外相は、民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさん軟禁を続けるミャンマーに、ASEANレベルでの視察団派遣を各国に提案したことを明らかにした。
外相訪問に対するミャンマー側の回答はまだないが、12日の首脳会議で話し合われる見通しという。
加盟諸国の内政不干渉を原則とするASEANにとって、ミャンマーに民主化を強要することはできない。サイドハミド外相は記者団に対し、「視察団が行けるかどうかは、ミャンマーが肯定的な決定をするかどうかによる」と配慮を示す一方で、「ASEAN各国には、ミャンマーが行動できる環境を作る責任がある」と、視察受け入れを強く求めた。
今年、ミャンマーに対する厳しい意見は国際社会から相次いだ。最近では11月、米国が宗教弾圧を行う「特に懸念のある国」としてミャンマーを含め8か国を指定する年次報告書を発表した。報告書は同国国務省が毎年、信教の自由に関する各国の現状をまとめているもの。この報告は、ミャンマーについて「政権からの独立や信条の内容を懸念し、独裁的指導者が一部または全ての宗教団体を反逆者と見なしている」と指摘し、キリスト教など宗教者への弾圧の存在を全世界に伝えた。