救世軍や福音同盟会など数多くの歴史的な福音派教会組織を生んだ英国で5日、同性同士の結婚を事実上認める「シビルパートナーシップ法」が施行された。同国の中央戸籍登録所が発行した「市民婚の挙式の手引き」の内容に、福音派諸教会は不安を隠せずにいる。
ロイター通信英語版などによると、同法の施行をうけて、福音派キリスト教徒たちは、教会の結婚式に宗教の象徴化の概念や非宗教的要素が混入することを憂慮している。
同法は、同性のカップルに異性の夫婦とほぼ同様の法的権利を与え、相続税の減免や社会保障、年金受給に関する権利を認めるもの。ただし、戸籍上は「婚姻」とされない。親子など一定の関係以外の16歳以上の同性であれば、友人同士などでの登録も可能。
英政府は2010年までに最大で約1万1000組の同性カップルが誕生すると予想している。
ロンドンに本拠を置くクリスチャントゥデイ電子版によると、英国国教会のカーディフ教区大主教、スミス氏は同法の施行に強く反対し、「結婚を人生の付加的なものとして扱うこの法は、婚姻という契約の価値を著しく低下させる」と指摘した。
英国福音同盟は、キリスト教の伝統的結婚の意味や定義、重要性が今後、忘れ去られていくだろうと警鐘を鳴らす。
ウォレス同同盟広報担当によると、同性カップルの式ではキリスト教の賛美歌が禁じられる一方、宗教的表現の歌詞を含んだ現代風のポップス音楽は許可される。政府は「神」や「神聖」といった単語使用を偶発的な場合を除いて禁止し、式全体を非宗教的にするよう勧告したという。
政府は宗教的式と非宗教的式を区別しようとするあまり、社会的な圧力に完全に屈服したかたちとなってしまった、とウォレス氏は分析する。人々が結婚式の宗教的な重要性を忘れるのは時間の問題だ、と険しい表情で話した。
同同盟は6、7日と2日続けて声明を発表。「市民婚とキリスト教結婚の聖別を忘れてはいけない」と福音派諸教会に訴えた。