キリスト教保守派に区分される団体、米フォーカス・オン・ザ・ファミリー(以下、FOTF)が長期にわたって取引を続けてきた米大手銀行、ウェルズ・ファーゴとの契約を打ち切っていたことを明かした。同行による「同性愛者のための行き過ぎた事業」が理由という。
FOTFは、伝統的なキリスト教の家庭観に基づいて家庭の保護や夫婦・親子間の問題解決を支援する宣教団体。米国内では最大規模の組織として知られ、日本の「ファミリー・フォーカス・ジャパン」(神奈川県横浜市)とも協力関係にある。
FOTFの声明によると、同性愛擁護団体「GLAAD」が活動のための寄付金を募集していたところ、ウェルズ・ファーゴ側が献金を申し出たという。
FOTFは同行に説明を求めたが、同行から返答はなく、FOTFは解約を決定した。当時の預金総額は明かされていない。
AP通信社の取材に対し、同行副頭取のクリス・ハモンド氏はGLAADに5万ドル(約600万円)を贈与したと明かしたが、献金ではないと主張しているという。同氏は「当行が多様性を受け入れる組織として、さまざまな団体を支援できることを誇りに思う」「同性愛者の共同体の活動を支援したことをうれしく思う」などと語った。
GLAAD広報担当は声明で「感謝すべきことに、性愛の対象に基づいて人を差別することがビジネスの世界でお勧めできないばかりか、根本的な過ちであることを、全米が知ることになった」と述べた。
これに対し、FOTFは「われわれは同性愛者個人やウェルズ・ファーゴ職員を排除しているのではない」と述べ、これまで同行が協力者として長年すばらしい働きをしたと評価した。一方で、「われわれの決断は個人的理由からではなく、信念に基づくものである。支援者を始めとする多くの人々がわれわれの決断を誇りに思うと、われわれは信じる」とした。