イラクでキリスト教系人道支援団体の職員の欧米人4人が拉致されたことをうけて、世界各地のキリスト教団体が4人の無事と無条件解放を求めて祈祷集会を行っていると5日、ロイター通信などが伝えた。
人質となったのは、米国、シカゴに本拠を置くキリスト教団体「クリスチャン・ピースメーカー・チームズ」(CPT)の職員4人で、カナダ人2人のほか米国人と英国人が1人ずつ。11月26日にバグダッドで拉致された。
世界教会協議会(本部・ジュネーブ、以下WCC)は人質解放を求める声明を3日付で発表。米国教会協議会(NCC)は4日、米国の全てのキリスト教会に対し、事件の無事解決のために祈るよう要請した。米NCCの声明では、キリスト教以外の宗教に属する組織に対しても、人命を脅かす悪の手から人質が解放されるように祈ってほしいと求めた。
米NCCの声明によると、CPTイラク支局は、イラク国内の暴力の撲滅と人権保護、イラクの解放のために活動する。CPTは主にパレスチナ暫定自治区の住民の人権保護を支援している団体だという。
英国では、3日、キリスト教組織「英国・アイルランド教会一致」(CTBI)が、ろうそくに火をともして市内を行進し祈る集いを開催した。
会場となったロンドン市内3か所の教会では、キリスト教徒以外に、カトリック系組織関係者や英国イスラム教協議会代表団も合流。参加者は特に、人質となった英国人で元・英バプテスト平和連合代表、ノーマン・ケンバーさんと家族のために祈った。
カタールの衛星テレビ局アルジャズィーラは2日、米軍とイラク軍に拘束されているすべての人々を8日までに釈放しなければ、人質4人を殺害するとの武装勢力の声明を含むビデオテープを放映した。声明は米英にイラクからの駐留軍撤退も求めている。
「義の剣旅団」を自称する武装組織が犯行声明を出しており、当局が関連を調べている。
先週、パレスチナのイスラム教指導者たちが人質の無事解放を求める声明を発表していたことが5日、イスラム人民ニュースの報道でわかった。声明は「人質の解放を求める。4人はあやまちなど犯していない罪なき市民だ」としている。