米カリフォルニア州のサドルバック教会は11月29日(日本時間30日)、キリスト教界指導者を集め、教会がエイズ・HIV問題に対する決心をどう行動に移せるかについて話し合う協議会を開催した。
リック・ウォレン同教会主任牧師は「キリストの肢体である教会が、手足を切断されてしまい、口だけ残ったような状態。これが現在のキリスト教会の姿だ」と憂慮の意を示した。
同紙によると、ウォレン師は現在のキリスト教の問題点を指摘。「人々がキリスト教について知っていることといえば、われわれが何に反対しているかということだ。このようなことはもう終わりにしよう。人々に知ってもらうべきなのは、われわれが何のために存在するかということだ」と述べた。
ウォレン師はメッセージの中で「クリスチャンが病人の必要に目を向けないとき、神は悲しんでいる。特に、指導者が無関心であるのを神は覚えておられる」と語った。集まった1300人以上の指導者に対し、「自教会の維持に頭を抱えるのは止めよう。どうやって病人を助けるかについて考えよう」と呼びかけた。
同師が代表に就くパーパス・ドリブン・ネットワークは全米最大の教会ネットワークの一つ。同ネットに加盟する教会は約1万3000で、全米の教会の1割に相当する。協議会は国際エイズデー当日の12月1日まで行われ、体系的かつ実践的なエイズ撲滅運動の内容と中長期活動目標を決定する。
ウォレン師の妻、ケイさんは2002年からアフリカのエイズ孤児1200万人の支援を始めた。雑誌の特集記事に掲載されていたエイズ患者の写真を見て、その容貌の悲惨さに思わず目をそらし、エイズ問題への取り組みを決意した。
ウォレン師は、エイズを患う友人の体験を語った。この友人はこの協議会に出席するためにニューヨーク市から飛行機で来たという。友人がエイズに関する本を読み、友人の妻が隣で酸素吸入をしていると、その隣に座っていた別の乗客が乗務員に席の変更を求めた。この友人夫妻は心を痛めたという。
「人々はエイズを恐れている。だがイエスさまはどうしただろうか」と述べ、患者や周囲の人々を死の恐怖から解放することと予防を訴えることは教会の役目であると語った。
先週、国連エイズ合同計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が発表した「エイズ報告書」によると、世界のエイズウイルス(HIV)感染者は4030万人に達し、このうち新規感染者は500万人を超えた。半数以上が15〜24歳の若い世代であるという。エイズによる死者数は310万に上った。死亡患者のうち15歳以下の子どもは57万人。