バチカン市国は29日、全世界のカトリック聖職者に対し、同性愛やその傾向のある神学生を聖職に就かせないよう指示した文書を公表した。
文書はローマ教皇ベネディクト16世が承認した。9月中旬から作業を開始し、きょう発表に至った。同性愛行為を行う人、同性愛傾向が明らかな人、自身が同性愛者であると認識する人が対象となる。「一時的な」同性愛から回復して3年以上経過した人は聖職に就く資格が与えられる。
文書はイタリアのカトリック内情報機関、アディスタが公表1週間前の29日、外部に流出させたもよう。
保守派の聖職者は、この声明を機に「同性愛文化」の顕著な米国内の神学校が改心することもあり得ると評している。一方、同性愛擁護派は、規制は聖職者の士気にかかわるなどと声明に反対している。
声明は、同性愛の傾向自体が倫理に反するわけではないとする一方で、傾向があることは秩序が保たれていないことを意味し、聖職者には不適合であるとした。
同性愛の聖職者が解任されることになれば、米国やカナダでは聖職者不足がさらに進むとみられる。
米クリスチャンポスト紙によると、カトリック教育省長官はバチカン放送で、規制はこれから聖職に就こうとする神学生に対して実施される一方、既に聖職に就いている同性愛者は対象ではないと述べた。