イギリスの子どもたちにクリスマスの本当の意味を教えたいとの願いでキリスト教伝道団体が制作したアニメーション映画「イッツ・ア・ボーイ」の試写会が27日午後(日本時間28日)、ロンドン市内の映画館で行われ、小学生700人が作品を鑑賞した。12月初旬から国内の公私立小学校で上映される。
この映画の発案者スティーブ・レッグ氏は、キリスト教非営利伝道団体「ブレイク・トラスト」(本部・英ロンドン)の代表。3年前に小学校を訪問していたレッグ氏は、クリスマス演劇を観ていた低学年の男子生徒が担任教師に「なぜマリヤとヨセフは、御告げどおりに赤ちゃんの名前を決めたの」と尋ねるのを聞いていた。「子どもの世代がクリスマスの意味を知らず、イエスが誰なのか分からないままでいてはいけない」と危機感を感じたレッグ氏は映画制作を決意した。
芸能界や放送業界に打診した結果、イギリスを代表する声優や俳優、技術者が協力に名乗りを上げた。子どもたちが興味を失わず、同時に正確で大切なことがらをできるだけ多く練りこもうと制作に3年以上かけた。学校での上映を目的としていたため、省庁と交渉して教育課程に沿うよう調整を続けたという。
ロンドンに本拠を置く英クリスチャントゥデイ紙の取材に対し、レッグ氏は「特定の宗教で子どもたちを洗脳しようというのではありません。現代社会は政治的な正確さだけに過敏になりがちです。学校での教育の基礎を確認し続けないといけない」と語った。
映画の内容は、ヘロデ王が生まれたばかりのイエスを殺そうとしていることを、3羽のウズラがマリヤとヨセフに知らせるというもの。
イギリスの国民的歌手、クリフ・リチャードが主題歌を歌う。「この作品に参加できることを誇りに思う」と喜びを語っている。
制作費は約4000万円で、ブレイク・トラストが全額出資した。試写会には国内のキリスト教指導者の姿もあり、「子どもたちにキリストの生誕を伝えるすばらしい手段だ」と話していた。