イスラム教国カタール(首都ドーハ)で2006年初旬、過去1400年で初のキリスト教教会が建設されることがわかった。
この教会を建設するのは英国国教会(聖公会)で、総工費は700万米ドル(約8億3000万円)の予定。国教会はカタール政府と5年間の交渉の末、同国のハマド首長から建設の許可を得た。’06年初旬にも建設を開始する。建設用地は首長から無償で寄贈された。
英国国教会が先週までに電子メールによるプレスリリースで建設を発表した。「カタールは中東でも非常に重要な国だ。教会の建設許可が下りたことを通して、イスラム教とキリスト教の対話の重要性を改めて確認した」と歴史的な開拓の喜びを語っている。
カタールはペルシャ湾岸にあり、人口約75万人(外務省、'04年)。英国から独立後、石油・天然ガス生産で成長を続け、国民の平均所得は世界でも最高水準。1990年後半にハマド首長就任後、自由化・民主化を推進。'03年4月には三権分立を定めた恒久基本法を国民の信任投票で採択し、18歳以上の男女に投票権を与えた。
教会の名称は「エピファニー(=啓示)教会」になる予定。屋根などの外装には十字架をつけず、廊下の側壁や床に十字架や花をあしらった装飾をほどこすという。
広報担当のハンドフォード牧師は発表の中で「われわれはイスラム教国では招待客のようなもの。受け入れ側に対する振る舞いには細心の注意を払う」と語った。内装は「極めてキリスト教風」になるという。(同牧師)
国際的なキリスト教情報機関「ワールド・クリスチャン・データベース」によると、カタールのキリスト教人口は約7万人。このうち1万人が聖公会教会員という。信徒は外国人学校や家庭で礼拝をささげている。
カタール以外に、湾岸諸国のうちクウェート、バーレン、アラブ首長国連邦などが国内にキリスト教施設の建設を許可している。