海外メディアによると、ロシアが宣教団体や非政府組織(NGO)の規制強化に乗り出している。これらの団体を通じた国外からの影響力を遮断する狙いとみられ、民主主義国家や人権団体の懸念が高まっている。
ロシア下院はこのほど、NGOの活動を大幅に規制する現行法修正案を賛成多数で基本採択した。対象は人権、環境保護、人道支援などの団体で、国外団体のロシアでの事務所設置を禁止する。国内NGOに対しても海外からの資金の受け取りを制限。今後さらに細部を取り決める予定という。
また、ロシア政府は国内にいる外国のキリスト教宣教師や宗教団体に対する規制強化を年内にも実施すると発表した。宣教師ビザや宗教団体の法人化の申請の際、審査が厳しくなるとみられる。
プーチン政権の意向を背景に議員団が法案を下院に提出したが、法案の作成にはロシア正教会が関与しているとの指摘もある。米国に本拠を置く「宣教ネットワークニュース」によると、ロシアの政府公認キリスト教団体、ロシア宣教会(ロシアン・ミニストリーズ)副理事長は「規制強化はロシア正教会が提案した。正教会以外のキリスト教団体を排除して国内の宣教を独占しようとしている」と断言した。
同理事長は、この新規制によって教会の成長と伝道が妨げられることはないと強調した。イエス・キリストの経験について語るのを禁止することは不可能だという。
ただ政府公認の教会の多くが法的資格を失う可能性は高いとみられる。規制の対処方法には、テントメーカー宣教師として商用ビザなどを取得することなどがあるが、長期間続けることは難しい。
プーチン大統領は24日、同案への懸念について「市民団体が被害を受けてはならない」として下院と協議する意向を表明しており、今後一部条項が修正される可能性もある。しかし大統領は「国外から国内の政治活動への資金援助は国家が把握しておくべきだ」と、国外団体の存在を気にかけていることをうかがわせている。