米国福音同盟(NAE)がアフリカ・ダルフールの大量虐殺(ダルフール危機、2003〜)に対する中国政府の無関心を指摘し、ブッシュ米大統領に解決を要請していたことがわかった。NAEは、中国がスーダンの主要投資国であるとして、その影響力を大量虐殺の解決に用いるべきとしている。世界福音同盟(WEA)はこの要請を支持する声明を20日までに公式サイトで発表した。
北京で先週行われた米中首脳会談前に、NAE担当者が大統領宛てに声明文を送った。リチャード・サイジックNAE政府連絡局副総裁は声明で、米国内の福音派教会を代表し、大統領が訪中でダルフール中国の果たすべき責任を胡錦涛国家主席に訴えるよう求めた。
この声明によると、中国はスーダンの主要な石油輸出相手国。一方、スーダンは中国から大量の兵器を購入するという関係にある。
WEA国際ディレクターのジョフ・トニクリフ氏はNAEの声明を支持。諸外国の政府に対し、ダルフール危機の悪化を防ぐよう呼びかけた。中国に対しては、スーダンの主要な投資国および貿易相手国であるとして、その影響力を同危機の解決に用いるべきと主張している。
共同通信社の調べ(2005年9月)では、中国は1999年までにスーダンに全長1500キロを超すパイプラインを敷設し、現在、中国の輸入石油の約1割はスーダン産となっている。スーダン政府は、石油で得た資金を中国製戦車や戦闘機、自動小銃などの兵器の購入にあてているという。
また中国が90年代からスーダンに提供した投資額は40億ドル(約4500億円)に達する。スーダン政府の人権侵害やテロ支援活動を懸念した複数の石油企業がスーダンから撤退すると、中国が急接近したと伝えられている。国連安全保障理事会はスーダンに対する制裁決議案を発表したが、中国側が安保理非公式協議で拒否権を利用し、この決議の回避を助けたという。
WEAによると、スーダン政府が組織した武装勢力は2年間で18万人以上を殺害、250万人以上が難民化して国内外に広がった。
サイジック副総裁は声明で「各国政府がダルフール危機の解決のためにあらゆる手段を探る中で、中国との連携は欠かせない」と述べ、国際会議での発言が増えている中国に対する国際的な働きかけが必要とした。