さまざまな宗教、世代、歴史的背景の人々がスイス・ジュネーブを先週訪れ、多文化・多宗教社会での共存について学習する集会に参加した。世界教会協議会(WCC)が主催。主題は「隣人の、そして私の信仰:信仰のアイデンティティ―善となるか、悪となるか」。宗教原理主義と暴力の構図について、討論会や講演、分科会、展示、懇談会を通して追及した。
全日程を終了して共同声明を採択した。声明では、「われわれ人類は、多様な人々、国家、民族、色、文化、そして宗教から成る、一つの家族です。宗教間で優劣を競い、分裂を助長させる動きを拒否します。われわれは、生命を豊かにし共同体を育む上で、それぞれの宗教的伝統に基づいた教えと実践に尽力します」と誓った。
発言者からは、宗教的アイデンティティが地球規模の対立を引き起こし、個人や社会に影響を及ぼす場合があると懸念の声があった。
パネリストとして参加したジャン・クラウド・バセー牧師(プロテスタント、スイス)は、信仰の本質が現在社会の中で変わってきていると述べた。同師によると、現代の信仰は、受け継がれたり与えられる価値観ではなく、個人的な認識と経験であるという。
ジュネーブのラビ・ゲージ師は、信仰がイデオロギーを超越するときに、異なる信仰の共存が可能となると語った。信仰が自我の域を超えて精神(スピリチュアリティ)へと変わるべきだと述べ、これは霊的体験、信仰の原点回帰、個性と普遍性の調和によって可能だとした。
コビアWCC総幹事は、宗教者が互いの違いを超えたところに目を向けるべきと強調した。宗教界の多元主義、平和づくりにおける宗教の役割、日常での宗教の重要性などに対する認識が高まっているとして、宗教枠を超えた協力関係に対するより深い理解が求められていると語った。
WCCの発表によると、本会議は12〜14日に開催された。ジュネーブの宗教関係者や宗教学者、キリスト教、仏教、イスラム教などからの幅広い参加があった。