米国聖公会のうち保守派の教会が集まる集会で、来賓参加した東南アジア聖公会代表がこれらの教会に対し、米国聖公会から離脱するよう要請していたことが15日わかった。米紙クリスチャンポストが14日伝えた。
東南アジア聖公会のダト・ヤン・ピン・チュン大主教は参加者に対し「皆さんが信仰的、聖書的、伝統的であり続ける限り、われわれ(東南アジア聖公会)は共にいます」と語ったという。
この集会は、米聖公会内で主要教会の方針に異議を唱える保守派が、ネットワークと団結を強める目的で今回初めて開催したもの。自由主義派には属さないが聖公会と繋がっていたいと希望する「中立派」を招き入れる狙いがある。「アングリカン・コミュニオン・ネットワーク」主催。
同ネットを指揮するのはペンシルバニア州ピッツバーグのロバート・ダンカン主教。自身を同性愛者と公言する聖職者が2003年に主教となり、その決定を下した役員の中に同僚がいたことに心を痛めたという。カナダ聖公会などが同性愛カップルの「結婚」祝福を始めたことなどをきっかけに、保守派教会の連絡組織の結成を決意した。
ダンカン主教は他の保守派聖職者と同様、同性愛の問題をめぐる分裂は聖公会内に潜在する根本的な問題が表出した一例に過ぎないとみている。ダンカン主教は「聖公会内に存在する問題とは、聖書の権威の低落だ」と指摘した。
見解に一致をみた各国からの代表者はこの日、中立的立場をとってきた教会に対し、保守派と自由主義派のどちらに身を寄せるかの決断を求めた。
ナイジェリア聖公会(会員18百万人)のピーター・アキノラ大主教は過去に米聖公会とカナダ聖公会との交流断絶を全聖公会に呼びかけた。アフリカでは9割以上の聖公会が北米からの宣教師を拒否するなど、同性愛に寛容的な北米の聖公会に厳しい対応を続けている。現在、米・カナダ両聖公会は、世界聖公会常置委員会および中央財務運営委員会への参加が許可されていない。
アキノラ大主教らを中心とするこの動きについて、自由主義派に属する聖職者は「皆が一つに連なり、違いを受け止めあうことが大切と考える。しかし既に(保守派が米聖公会から)脱退するまで秒読み段階かもしれない」とみている。(ピッツバーグ市進歩主義聖公会連絡協議長)
ゴメス東インド大主教は、一部の「全く新しく、伝統から完全に逸脱する」福音を教える人々との間に生じた溝はもはや埋められないと述べたという。
集会は現地時間15日に閉幕する。