国際的な非政府組織(NGO)約50団体が9日、共同声明を発表し、アフリカ・ウガンダで民間人への襲撃・誘拐などを繰り返す反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」を非難。国連安全保障理事会に民間人の保護を早急に行うよう要請した。
AP通信によると、今月5日には英国援助団体関係者がウガンダ北部でLRAに襲撃され、射殺された。10月下旬にも同地域で別の援助団体関係者2人が殺害されたほか、隣国スーダン南部でも地雷撤去に取り組むNGOの2人が拉致され、殺害された。共同声明によると、LRAによる襲撃で毎週1000人が殺害されているという。
1980年後半からウガンダ北部でLRAによる民間人の殺害や誘拐が多発。これまでに子どもら2万人以上が誘拐されたほか、160万人以上が国内避難民となった。LRA指導者ら5人に対し、人道犯罪を裁く国際刑事裁判所(オランダ・ハーグ)は10月中旬、逮捕状を出したと発表。これに反発したLRAが外国人の襲撃を始めたとの見方が出ている。
同裁判所の情報によると、LRAの戦闘員の8割以上が11歳から15歳ほどの拉致されてきた子どもたちという。拉致された子どもの3分の2が男子で、逃亡に失敗した子どもの殺害や虐待などの非人道的行為、重労働や略奪、市民の殺害や拉致を強いられている。女子の場合はLRA幹部の使用人として、長時間の労働や性的搾取などの虐待を受けている。
ウガンダでキリスト教宣教師として生活する外国人は10家族以上(米・宣教団体オープンドアーズ)とされる。日本からも1家族が、首都カンパラから車で約4時間の商業都市で開拓伝道を行っている。この家族を派遣する教会(日本バプテスト・バイブル・フェローシップ)の主任牧師によると、宣教師夫妻は今年で開拓6年期目。昨年には会堂を建築し、150人以上が礼拝出席するまでに成長した。犯罪や危険な状況に巻き込まれたことは現在までないという。オープンドアーズによると、LRAによる被害の報告は宣教師から受けていないが、予断を許さない状況だ。