イラク選挙管理委員会は25日、新憲法草案の承認を問う国民投票の最終結果として、8割近い賛成で草案が承認されたと発表した。12月15日には国民議会選挙が行われ、年内の本格政府樹立を目指す。2003年4月の旧フセイン政権崩壊に伴うイラクの民主化と和平は大きく前進した。
投票は今月15日に実施。草案は過半数が賛成しても、反対票が3州で3分の2を超えれば否決される。スンニ派は草案の連邦制導入に反対したが、同派政治勢力が賛否をめぐって分裂した。共同通信によると、投票率は63%。開票の結果、賛成が78・59%、反対が21・41%だった。
各紙の報道によれば、新憲法は連邦制の議会制民主主義を採用。連邦を構成する地域政府に立法、行政、司法の三権を与えるなど強い自治権を認めた。自由や人権の保障、信教の自由、法の下の平等も明記したが、イスラム教を国教とした。キリスト教など他宗教の信者は、イスラム教政権が他宗教を拒否するほどの影響力を得ることを恐れている。
イラク国民は憲法案を圧倒的多数で支持。武装勢力の支持基盤で、連邦制導入に反発するスンニ派の多くは反対票を投じた。宗派間の見解の違いが示されたことで、宗派や民族間の亀裂が一層深刻化する恐れがあり、過激派による攻撃がいっそう増すとの懸念もある。
フセイン政権崩壊後の民主化を後押ししてきた米国や国際社会は、憲法承認を歓迎。政府樹立まで徹底した支援を行うべきとの認識が支配的だ。