【7日、英CT】インドネシアで先月末、キリスト教徒の女子生徒3人が首を切断されて殺害された事件で、国外のキリスト教諸団体がこの残虐な暴力を非難し、インドネシアのキリスト教徒の安否を気遣う声明を相次いで発表している。
英国に本拠を置くキリスト教系人権監視団体CSW(キリスト教国際連帯)のランバート主任弁護士は「罪のない少女たちへの卑劣で残虐な暴力を非難する。我々の思いと祈りは遺族の方々と共にある」と語った。
ユドヨノ大統領は事件発生後、記者会見し「野蛮な行為を非難する。抗争が続くよう望む勢力がある」と述べ、警察を動員して地域教会周辺の警備にあたらせた。犯行の動機は不明だが、宗教抗争をあおる狙いでイスラム過激派などが実行したとの見方が強い。
AP通信によると、事件は先月29日午前6時半頃、キリスト、イスラム両教徒による宗教紛争がくすぶるインドネシア東部スラウェシ島の中部ポソで発生。キリスト教会付属の高校に登校途中の女子生徒が何者かに襲われ、16〜18歳の生徒3人が首を切断され殺害された。ほかに、16歳の女子生徒1人が重傷を負った。
CSWによると、被害者の頭部はビニール袋に入れられ、教会や警察の前に置かれていた。遺体付近には「10代のキリスト教徒100人を殺害する」と書かれた紙が見つかった。
ポソ周辺では2000年から01年にかけイスラム教徒とキリスト教徒の激しい抗争で1000〜2000人が死亡。01年末に和平協定が結ばれ、いったん沈静化。昨年から州都パルやポソなどでキリスト教徒が殺される事件が再び相次いだ。先月も、抗争の悪化を懸念した政府は軍隊1500人を市街地などに配置し、イスラム教のラマダン(断食月)明けに備えて警備を強化していた。
英国に本拠を置くキリスト教団体「バーナバス基金」は今月1日に発表した声明で「警察や軍部はこれまで、キリスト教徒の保護に消極的だった。一部のキリスト教徒は、過激派の暴力を護衛側が黙認するのではと懸念している」と指摘した。
キリスト教徒に対する迫害の最近の例では、島内の反キリスト教的暴力を批判していた中央スラウェシ・キリスト教改革派教会のダマニク牧師が2002年に身柄を拘束され、昨年11月まで収監されていた。
AP通信の取材に対し、同島に住むキリスト教徒は事件以来、恐怖のあまり外出できないでいると話した。
キリスト教、イスラム教の指導者は犯人の逮捕まで冷静に対処するよう呼びかけた。ダマニク牧師は現在英国でCSW主催の講演ツアーを行っているが、スラウェシ警察当局と地域教会は同牧師に島内の緊張緩和のための協力を要請した。
ダマニク牧師はCSWを通して発表した声明で「インドネシア政府がスラウェシの和平に向けて全力を尽くすよう、国際的に働きかけるべきだ」と各国のキリスト教徒に呼びかけた。
バーナバス基金は声明で、被害者遺族や同島のキリスト教徒のために祈って欲しいと述べた。また事件唯一の生存者、ノビアナさんの身体的、精神的回復のための祈りも必要とした。
記事:ユニス・オール(ChristianToday.com)
翻訳:高柳泉