米国テキサスに本部を置くキリスト教団体「中国支援協会」(CAA)は21日、中国河北省で当局に拘束された非公認教会(地下教会)の指導者ら50人が25時間後に釈放されたと発表した。政府が同国の人権状況を非難する国際世論の高まりを懸念し釈放を指示した、との政府筋の情報を伝えている。
CAAによると、20日、中国河北省で修養会を開催していたキリスト教会の指導者ら約50人が拘束された。
目撃者の証言によると、指導者らは全国20の省から集まり、修養会では貧困者や孤児、都市部の浮動人口の救済対策について協議したという。
現地を管轄する警察と宗務課高官が午後4時に修養会場に押し入り、警官の1人が戴弘という名の牧師に暴行を加えたという。
CAAは、信頼できる政府筋からの情報として、中国共産党中央当局が釈放を直接指示したと伝えた。当局による非公認宗教組織の弾圧を厳しく非難する国際世論が高まっていることを示す格好となった。
教会指導者らは釈放の際にデジタルカメラや携帯電話、現金を没収され、氏名と身分証明書の番号、顔写真の撮影を強要されたという。また、警官に警察手帳の提示を求めた女性牧師が別室に連行され、顔などを殴打された。中国の法律では、警官が市民に身分証明書の提示を求める際、まず警官が警官番号を提示することが義務づけられている。
釈放された指導者らは口々に信仰の証しを語ったという。また、指導者らは釈放された際、賛美歌を歌って当局関係者を見送った。
ボブ・フーCAA代表は、異例の早さで釈放されたことは評価すべき前進だとコメントした。当局による暴力などの不当な取調べや強制連行は国際的な人権水準から大きく外れた行為と厳しく非難した。