スペインの首都マドリードで18日(現地時間)、同性同士の結婚を認める法案に反対するデモ行進が行われた。AP通信英語版(同日付)によると、行進にはローマ・カトリック教会の司祭や家庭人権保護団体の動員で50万人以上が全国から参加。倫理観の崩壊を意味する同性婚に対し、宗教者らは譲歩できない姿勢を明確に示した。
AP通信によると、カトリック系の家庭人権保護団体「スペイン家庭フォーラム」の呼びかけに応じ、信徒や最大野党・国民党支持者らが約500台のバスや6機の飛行機で次々と首都入り。20人のカトリック司教を先頭に、「同性婚は倫理に反する」「同性婚は家庭や子供の権利を侵害」などと横断幕を掲げて行進した。動員数は最低50万人とされており、主催側は150万人超と発表している。
同性婚を認める法案は、4月下旬に下院で可決、今後数週間以内に上院でも審議され法案成立の見通しとなっている。社会労働党のサパテロ政権が提案、男女の夫婦と同様、同性同士のカップルにも結婚、養子縁組、年金受給、相続などの法的権利を付与する。
地元紙の世論調査結果によると、国民の過半数以上が法案を支持している。マリア・テレサ・フェルナンデス第一副首相兼官房長官は18日の記者会見で、デモについて「人権の恩恵にあずかる立場にありながら、他人の人権を認めないのか」「法案は反対者に何かを強制するものではない」などと主張した。
これに対し、デモ行進者は「結婚は神聖かつ自然の秩序に基づいた契約」「同性婚は欺瞞(ぎまん)に満ちている」などと書かれたプラカードを掲げ、「情欲に溺れるな。歴史的な視点を」などとシュプレヒコールを繰り返した。
同性愛など倫理をめぐり、イタリアでも6月中旬、ローマ・カトリック教会が棄権を呼びかけ、不妊治療の制限緩和を問う国民投票が不成立になった。同教会は「倫理を守るため今後も積極的な行動を取る」としているという。