第三者の精子・卵子の提供禁止など、人工授精と体外受精の規制緩和が争点となったイタリアの国民投票が12、13の両日行われ、投票率が両日合わせて25.9%で、成立に必要な50%を下回ったため、無効となった。バチカンのローマ教皇庁による投票ボイコットの呼び掛けが、大きく影響したとみられる。
条件緩和に反対している教皇庁は、国民に棄権を呼び掛けていた。
共同通信によると、投票では、法律の(1)受精卵を使った研究の制限(2)1回で受精させる卵子を3つまでに限定(3)受精卵に新生児と同じ権利を付与(4)第三者の精子・卵子の提供禁止―の4点の是非が問われている。
特に、女性患者にとって(2)と、受精卵の異常の有無を調べるスクリーニングなどを禁じた(3)の条項は負担が大きいため、法律には昨年2月の成立時から反対が強かった。(共同)
教皇庁は、受精卵やヒト胚を命の始まりとし、実験研究などを認める今回の緩和案に反対していた。教皇ベネディクト16世も今月、バチカンで行われた、家庭の役割に関する評議会に出席し、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究など倫理問題に対するローマ・カトリック教会の反対姿勢を改めて強調していた。
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