レバノン内戦末期にマロン派(シリア語系のカトリック教会の一派 )キリスト教徒民兵を率い、シリア軍やシリアが支えるレバノン政府軍と戦って敗れた反シリア強硬派指導者のミシェル・アウン元将軍(70)が7日、亡命先のパリから14年ぶりに帰国した。ベイルートでは数万人のキリスト教徒支持者が熱狂的に出迎えた。
同氏は家族や側近らとともにチャーター機でベイルート空港に到着した後、数万人の支持者が待つ殉教者広場に直行し、「レバノンは今後、19世紀の考え方による支配は受けない。現代的な民主主義が必要だ」と演説した。
同氏は内戦中の88年、暫定首相となり、シリアからの「解放戦争」を訴えていた。90年10月にシリア駐留軍に破れ、内戦終結後の亡命後も反シリア派指導者として支持を集めた。
今回の帰国は、シリアが4月にレバノンからの軍撤退を終えたことで影響力を弱め、反シリア派が地盤を固めつつあることを示している。同氏には「国家権力の不法侵害」などの容疑で逮捕状が出ていたが、裁判所が4日、逮捕状の効力を凍結したことで戻れるようになった。
キリスト教徒には同氏を大統領候補に推す動きもあり、今後、同氏が政治的復権を目指して活動を始めるとみられている。