第265代ローマ教皇に選出され、10億人の信者を擁するカトリック教会の指導者となったベネディクト16世(78)=ヨーゼフ・ラッツィンガー前枢機卿=の就任ミサが24日、バチカンのサンピエトロ広場で行われ、新教皇はキリスト教諸教派との団結、ユダヤ教徒との対話推進に努力することを表明した。
サンピエトロ広場周辺約40万人の信者らが集まり、新教皇の就任を祝った。ユダヤ教や英国国教会、ロシア正教など他教・宗派の代表がミサに参加。教皇の母国ドイツからはシュレーダー首相とケーラー大統領、米大統領の弟のブッシュ・フロリダ州知事、日本からは武藤嘉文元外相など各国、国際機関の代表者らが出席した。
教皇は「私に与えられた権威は、私の思いをかなえるためや、私の主張を通すためでなく、諸教会と一致して聖書の御言葉に耳を傾けるためにある。教会が神の御心を求め導きを請うとき、神は歴史のしかるべきところに教会を導かれるだろう」と述べた。
教皇は「人類は砂漠に迷える羊で、多くの人々が貧困、飢餓、孤独という砂漠に生きている。教会と司祭は人々を砂漠から導き出さねばならない」と述べ、社会問題への取り組みに意欲を示した。
教皇は「ユダヤの兄弟姉妹とは霊的遺産を共有することで緊密に結ばれている」と話し、ユダヤ人に配慮を示した。教皇は少年時代にナチスの青年組織に加入していた経歴がある。
教皇はミサで、漁師だった使徒ペテロの姿が刻まれた「漁師の指輪」と赤い十字架の刺しゅうがある白いパリウム(肩衣)を身につけ、教皇ベネディクト16世としての歩みを正式に始めた。