世界123カ国の福音派諸教会の交わりと宣教協力、情報交換などを行う国際的ネットワーク「世界福音同盟(WEA)」は、宗教と民族意識を関連させて少数派宗教を弾圧する傾向が世界中にみられ、これはキリスト教に対する迫害と深い関わりがあると指摘した。
米クリスチャンポスト紙が12日(現地時間)伝えたところによると、WEAは先月14日から6週間の予定で開催中の第61回国連人権委に参加、「世界の宗教の自由に関する観点:キリスト教共同体に迫りくる挑戦」と題して報告書を発表した。
WEAは報告書で「一宗教が民族アイデンティティと結び付けられれば、少数派宗教が疎外されることになる。これはキリスト教弾圧だけでなく宗教の自由の侵害を引き起こす要因となる」と述べている。
また、WEAは、イスラム教、仏教、ヒンズー教圏諸国がさまざまな場面で宗教的偏狭を感じさせる動きをみせていると指摘した。原理主義活動にかかわる非政府組織の活動を黙認する姿勢や信仰の妥協を強要する政治圧力の行使がみられるという。 特に、パキスタン、スリランカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イランなどは、キリスト教および他の少数派宗教の信仰と活動を制限する法律を採用している。このため、少数集団に対する迫害が日常的に起こり、暴力行為につながることもあるという。
WEAは、政府が宗教団体に対して法人化と登録を義務付ける国家に対する懸念を表明している。登録システムは、政府が公権を過度に行使することを可能とする手段を提供するだけでなく、世界人権宣言18条、市民的および政治的権利に関する国際規約が言及する人権の侵害にあたるとしている。WEAは、法的政治的圧力を加える国を監視するよう同委に強く求めた。
WEAが憂慮の意を表明した国にミャンマー、中国、エリトリア、イラン、北朝鮮、スリランカ、スーダン、トルクメニスタン、ベトナムなどが含まれている。