旧フセイン政権に代わる本格政権の樹立に向けて、イラクで来年1月30日の国民議会選挙へ向けた選挙運動が15日、始まった。メディア各紙は同日、70の政党・組織と9つの連合会派が選挙管理委員会に候補者名簿を提出したと報じた。一部の報道によると、このうち8団体がキリスト教政党であることが明らかになった。立候補の届け出は15日に締め切られ、最終的な名簿は20日に公示される。
イタリアを本拠地とする通信社Asian Newsが報じたもので、クリスチャンの候補者は「イラクが民主主義と自由の国に生まれ変わろうとしている」と話し選挙戦への意欲を見せているという。
だが一方で、キリスト教会の指導者たちは、教会爆弾テロとクリスチャンに対する迫害で国外逃亡を余儀なくされた経験等から、選挙の阻止を狙う反米武装勢力のテロの標的となる懸念が強く、国内の信教の自由と多様な価値観の許容の実現には時間がかかりそうだ。
選挙は、全国一区の完全比例代表制で実施され、二百七十五議席を争う。参加する政党などは最低十二人からなる候補者名簿を提出、名簿では三人目ごとに女性を記載することが義務付けられている。十八歳以上の全国民が選挙権を持ち、有権者数は約千四百万人とみられる。有権者登録には旧フセイン政権時代の国連制裁の下で行われた食糧配給制度を利用している。選ばれた議会は二〇〇五年八月までに憲法草案を起草するのが主な任務となり、憲法制定後の十二月に改めて国民議会選挙が実施される。